マンハッタンのアッパーウエストサイドに壮麗な姿を現すリンカーン・センターは、世界屈指の総合芸術施設です。1960年代の大都市再開発によって誕生したこの文化複合施設には、オペラ、バレエ、クラシック音楽、演劇、映画、モダンダンスなど多彩な芸術ジャンルの殿堂が集まっています。
ニューヨーク・フィルハーモニック、メトロポリタン歌劇場、ニューヨーク市バレエ団など、世界的に名高いカンパニーが本拠地とし、年間数千におよぶ公演が催されています。緑豊かな広場や噴水、ガラス張りのロビーや洗練されたレストランが調和し、観光客から芸術家、地元の家族まで幅広い層に愛されている「文化のオアシス」です。
- リンカーン・センターの歴史と背景
- リンカーン・センターの見どころリスト
- メトロポリタン歌劇場(The Metropolitan Opera House)
- デイヴィッド・H・コッホ劇場(David H. Koch Theater)
- デイヴィッド・ゲフィン・ホール(David Geffen Hall)
- ジュリアード音楽院(The Juilliard School)
- リンカーン・センター・プラザと噴水
- フィルム・アット・リンカーン・センター
- アリス・タリー・ホール(Alice Tully Hall)
- ジャズ・アット・リンカーン・センター(Jazz at Lincoln Center)
- 子ども・家族向けプログラム
- ガイドツアー&バックステージ体験
- リンカーン・センターが登場する映画
- リンカーン・センターの基本情報
- まとめ
リンカーン・センターの歴史と背景
リンカーン・センターはニューヨーク・マンハッタンのアッパーウエストサイドに広がる、世界最大級の総合芸術施設です。
約6ヘクタールの敷地内には、主要な建物が11棟集まっており、オペラ、バレエ、クラシック音楽、ジャズ、演劇、映画など幅広い舞台芸術が上演されています。主な施設には、メトロポリタン歌劇場(The Metropolitan Opera House)、ニューヨーク・フィルハーモニックの本拠地であるデヴィッド・ゲフィン・ホール(旧エイブリー・フィッシャー・ホール)、ニューヨーク・シティ・バレエが本拠とするデヴィッド・H・コーク劇場などがあります。加えて、ジャズ・アット・リンカーンセンター、リンカーンセンター劇場、映画協会など多様な芸術団体が拠点を置き、年間を通じて多彩なイベントやフェスティバルが開催されています。
リンカーン・センターの誕生は、ニューヨーク市の都市再生プロジェクト「リンカーン・スクエア再開発計画」に端を発します。1950年代半ば、当時のロバート・モーゼス市都市開発責任者がスラム化が進んでいたアッパーウエストサイド地区の再生を掲げ、総合芸術センターの建設を提案しました。
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ロックフェラー3世が初代会長
財団の初代会長はロックフェラー家のジョン・D・ロックフェラー3世。民間資金と公的資金を組み合わせた大規模プロジェクトとして、世界の都市計画史でも注目される存在となりました。
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建設は1959年から始まり、1962年にはニューヨーク・フィルの本拠地「エイヴリー・フィッシャー・ホール(現デイヴィッド・ゲフィン・ホール)」、1964年には「ニューヨーク市バレエ団&オペラ団劇場(現デイヴィッド・H・コッホ劇場)」が開場。1966年には「メトロポリタン歌劇場(The Metropolitan Opera House)」が華々しくオープンし、以降もジュリアード音楽院、フィルム・ソサエティなどが次々に加わりました。
1970年代以降はモダンダンスやジャズ、現代アート、子ども向けイベント、アウトリーチプログラムなども強化され、NY市民と芸術を結びつける「公共空間」としての役割が拡大しました。2006~2012年には約15億ドルをかけて大規模リノベーションが実施され、より開放的でインクルーシブなデザインへと生まれ変わっています。今では年間500万人以上が訪れ、ニューヨーク文化の象徴・世界芸術の中心として世界中から注目されています。

リンカーン・センターの見どころリスト
メトロポリタン歌劇場(The Metropolitan Opera House)
世界最大級のオペラハウスで、座席数3,800以上。ヴェルディ、ワーグナー、プッチーニなどの本格的なオペラが連日上演されています。赤と金を基調にした壮麗なロビー、巨大なシャンデリア、開閉式のカーテン、先進的な舞台装置など、建築・舞台芸術の粋が集結。
劇場内ガイドツアーも実施され、舞台裏やスター歌手の控室、楽屋、リハーサル風景まで見学可能です。年間200以上の公演が開催され、世界中のオペラファンの憧れの聖地です。
デイヴィッド・H・コッホ劇場(David H. Koch Theater)
ニューヨーク市バレエ団の本拠地であり、モダン・クラシックバレエの殿堂。ジョージ・バランシンやピーター・マーティンスら伝説的振付家の作品、海外カンパニーの招待公演、子ども向けダンスワークショップも充実しています。美しいガラス張りのロビーや豪華な階段、現代彫刻の設置など、建築芸術としても見応え十分です。
デイヴィッド・ゲフィン・ホール(David Geffen Hall)
ニューヨーク・フィルハーモニックの本拠地で、クラシックから現代音楽、ポップスや映画音楽まで多彩なコンサートが開催されます。2022年の大規模リノベーションで音響・内装・観客席が刷新され、臨場感あふれるサウンド体験が可能となりました。著名指揮者や世界的ソリストが定期的に登場し、学生や家族向けのオープンリハーサルやワークショップも人気です。
ジュリアード音楽院(The Juilliard School)
世界最高峰の音楽・舞踊・演劇学校。キャンパス内のジュリアード・シアターやコンサートホールでは、学生たちによる質の高い公演が頻繁に開催され、一般にも公開されています。クラシックからジャズ、ダンス、演劇まで多彩な分野で著名な卒業生を輩出しています。代表的な卒業生は以下のアーティスト。
- ヨーヨー・マ(Yo-Yo Ma) — 世界的チェリスト
- ピンカス・ズーカーマン(Pinchas Zukerman) — バイオリニスト・指揮者
- レニ・クラヴィッツ(Lenny Kravitz) — シンガーソングライター
- フィリップ・グラス(Philip Glass) — 作曲家
- ローラ・リニー(Laura Linney) — 女優
- ロビン・ウィリアムズ(Robin Williams) — 俳優・コメディアン
- マイルズ・デイヴィス(Miles Davis) — ジャズ・トランペッター
- サラ・チェン(Sarah Chang) — バイオリニスト
- ケヴィン・スペイシー(Kevin Spacey) — 俳優
- ヴァネッサ・L・ウィリアムズ(Vanessa L. Williams) — 歌手・女優
リンカーン・センター・プラザと噴水
施設の中心に広がる広場は、白い大理石の床と巨大な円形噴水が特徴。周囲を囲む各ホールの美しい外観、季節の植栽やアート作品、夜のライトアップも必見です。映画祭や野外コンサート、ファーマーズマーケット、ホリデーイベントなど、多彩な催しが開催され、市民や観光客で賑わいます。
フィルム・アット・リンカーン・センター
世界的な映画祭「ニューヨーク映画祭(NYFF)」の主会場。クラシックから最新作まで、多様な映画が年間を通して上映されます。監督や俳優のトークイベント、国際的な映画シンポジウムなど、映像文化の発信地として世界の映画ファンが集います。
アリス・タリー・ホール(Alice Tully Hall)
室内楽や独奏、現代音楽のコンサートが行われるホールで、音響・照明にこだわった設計。斬新なガラス外壁と木質インテリアのコントラストが美しく、リサイタルや新作プレミアなど、芸術家の個性が輝く舞台です。
ジャズ・アット・リンカーン・センター(Jazz at Lincoln Center)
タイムワーナーセンター内に位置し、ウィントン・マルサリス率いる専属オーケストラを中心に、世界のトップジャズミュージシャンがライブを行います。ブルーノート、ディジーズ・クラブなど名門クラブと連携し、モダンジャズからスウィング、ラテン、フュージョンまで幅広いジャンルに対応。カフェやバーも併設され、気軽に一流のジャズを楽しめます。
子ども・家族向けプログラム
毎週末のキッズコンサートやダンスワークショップ、アウトリーチ事業など、芸術教育にも力を入れています。夏休みやホリデーシーズンには野外上映会やインタラクティブな体験型イベントが多数開催され、地元ファミリーの憩いの場にもなっています。
ガイドツアー&バックステージ体験
公式のガイドツアーでは、施設の歴史や舞台裏、芸術家の逸話などを英語ガイドで解説。舞台装置やリハーサルの見学、スター歌手の楽屋見学なども人気。要予約。
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リンカーン・センターが登場する映画
『ブラック・スワン』(Black Swan, 2010)
ナタリー・ポートマン主演のサイコスリラー。主人公ニナがバレエ団に所属し、リンカーンセンター内のデヴィッド・H・コーク劇場(旧ニューヨーク・ステート・シアター)が重要な舞台となります。劇場内部や舞台裏のシーンが印象的です。
『ホワイトナイツ/白夜』(White Nights, 1985)
ミハイル・バリシニコフ主演のダンス映画。オープニングでリンカーンセンターの噴水や劇場前が舞台となり、ニューヨークの芸術シーンを象徴しています。
『恋人たちの予感』(When Harry Met Sally…, 1989)
ニューヨーク各地が登場する本作では、リンカーンセンター前の広場でハリーとサリーが語り合う場面があります。噴水や建物が美しい背景となっています。
『セックス・アンド・ザ・シティ2』(Sex and the City 2, 2010)
主要キャラクターたちがリンカーンセンターでオペラ鑑賞をする場面が描かれます。正装した登場人物とライトアップされた劇場が印象的です。
『マイ・フェア・レディ』(My Fair Lady, 1964)
リバイバル上映やクラシック映画イベントでリンカーンセンター内の映画協会(Film Society of Lincoln Center)が登場します。
『ブライダル・ウォーズ』(Bride Wars, 2009)
主人公たちがリンカーンセンターのホールで結婚式について話し合うシーンが撮影されています。
『オーシャンズ8』(Ocean’s 8, 2018)
ファッションイベントの会場として、リンカーンセンターの一部施設が撮影に使用されています。
リンカーン・センターの基本情報
-
所在地
Lincoln Center Plaza, New York, NY 10023
アッパーウエストサイド、ブロードウェイと66丁目交差点 -
アクセス
地下鉄1線「66th St – Lincoln Center」駅下車すぐ
A・B・C・D線「59th St – Columbus Circle」駅から徒歩7分
セントラルパーク、タイムワーナーセンター、コロンバスサークル至近 -
営業時間
各ホール・施設・レストランによって異なる(通常午前10時〜夜22時頃)
チケットブースやギフトショップは日中営業
野外広場や噴水エリアは年中無休・24時間開放 -
チケット代
・メトロポリタン歌劇場:$35〜$350(席種・演目による)
・ニューヨーク・フィル:$35〜$200
・バレエやジャズ公演:$25〜$200
・学生割引、ファミリープログラム割引あり
・映画祭、イベント、ツアーは公式サイトで要確認・事前予約推奨 -
設備・サービス
・全館バリアフリー(エレベーター、車椅子貸出、点字案内)
・多言語パンフレット・音声ガイド
・公衆Wi-Fi
・レストラン、カフェ、ギフトショップ
・噴水や野外ベンチ、芝生エリア
まとめ
リンカーン・センターは、芸術と市民生活が交わる「文化都市ニューヨーク」の真髄です。世界最高峰の音楽・舞踊・オペラ・映画から、家族や子どもが気軽に楽しめる野外イベント、教育プログラムまで、年間を通じて多彩な体験を提供しています。歴史的建築と現代アートの融合、広々とした噴水広場、華やかなシャンデリアと最新鋭の音響、そしてグルメやショッピングまで、誰もが自分だけの“芸術の時間”を過ごせる特別な場所です。
観光客にとってはニューヨーク文化の奥深さを体感できる格好のスポットであり、地元の人々にとっては日常の中の「非日常」として、世代を超えて愛され続けています。NY滞在中はぜひ一度、リンカーン・センターの華やかな舞台と静謐な広場を歩き、世界の芸術都市・ニューヨークの鼓動を感じてみてください。

