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【アメリカミュージアム巡り】ブルックリン美術館 Brooklyn Museum 徹底ガイド

旅・ミュージアム
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ニューヨーク・マンハッタンの東、ブルックリンの中心部に佇むブルックリン美術館は、五大陸の美と知が結集したアメリカ屈指の総合美術館です。

1897年の創設以来、古代エジプトから現代アート、アフリカ・アジア・アメリカ先住民美術まで世界の多様な文化・芸術を平等に扱う“包摂のミュージアムとして、今も進化し続けています。マンハッタンの巨大美術館とはひと味違う市民に開かれたミュージアムです。

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  1. ブルックリン美術館の歴史と成り立ち
    1. 創設と成長――市民とともに歩む博物館
    2. コレクション拡大と「多様性」の理念
    3. コミュニティ・アートの発信地
  2. ブルックリン美術館 伝統と現代が融合するアートの迷宮
    1. 歴史的外観と現代的リニューアル
    2. Brooklyn Botanic Gardenと一体の都市空間
    3. 多様性・インクルージョンの徹底
    4. 現代社会とアートの対話の場
    5. ブルックリンの環境と地域密着型美術館の誕生
  3. ブルックリン美術館のコレクションと特徴
    1. 総所蔵数150万点、常設展示は約5,000点
    2. 常設展示の多様性
  4. ブルックリン美術館 とっておきの20点
    1. Judy Chicago “The Dinner Party”
    2. ジャン=ミシェル・バスキア 「無題(骸骨)」
    3. アメンエムハト王の像(古代エジプト)
    4. ジャン=バティスト・カミーユ・コロー『ヴィル=ダヴレーの思い出』
    5. ファラオの棺(サルコファガス)
    6. オーガスタス・サン=ゴーダンス『エイブラハム・リンカーン像』
    7. ファースト・ネーションズの仮面(北米先住民アート)
    8. ウィリアム・ブグロー『若き羊飼い』
    9. 草間彌生『インフィニティ・ミラー・ルーム』
    10. マリアンヌ・モア『ポエトリールーム』
    11. エドガー・ドガ『踊り子たち』
    12. ジョージア・オキーフ『ブルーII』
    13. アンディ・ウォーホル『毛沢東』
    14. ロバート・コールスコット『George Washington Carver Crossing the Delaware』
    15. ベッツィ・グレイブス・レイナー『光の中の少女』
    16. ジャン=レオン・ジェローム『ピュグマリオンとガラテア』
    17. アフリカ・ベナン王国『真鍮の王像』
    18. ブルックリン・ストリートアート(コミュニティ・アート展示)
    19. 日本・江戸時代『葛飾北斎の浮世絵』
    20. ダニエル・チェスター・フレンチ『死の天使』
  5. 市民に開かれた多文化体験のできる美術館
    1. ガイド・ワークショップ・教育プログラム
    2. 毎月第一土曜は無料
  6. アクセス・基本情報
  7. まとめ

ブルックリン美術館の歴史と成り立ち

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創設と成長――市民とともに歩む博物館

ブルックリン美術館の設立は1897年、ニューヨーク近郊の“文化と教育のハブ”として誕生しました。当初はブルックリン研究所(Brooklyn Institute of Arts and Sciences)の一部として設立され、本物の美術を市民全員に開くという社会的使命を掲げてきました。

設計はマッキム、ミード&ホワイト(McKim, Mead & White)の手によるネオクラシック様式。20世紀前半には、アメリカ有数の規模と質を誇る美術館として成長を遂げました。

コレクション拡大と「多様性」の理念

20世紀にはエジプト美術、アフリカ美術、アジア美術、装飾美術、現代アートの充実を図り、「世界のあらゆる時代・地域・人種・ジェンダーの美術を、先入観なく平等に扱う」という“多様性の理念”が根付いています。

21世紀には現代アート、女性アーティスト、LGBTQ+、社会運動・コミュニティ参加型の展示も拡大。今やNYを代表するインクルーシブな美術館へと進化しています。

コミュニティ・アートの発信地

美術館は地元市民・アーティストとのつながりも強く、教育・ワークショップ・地域プロジェクトも活発。メトロポリタン美術館などにはない、ローカル文化と密接に結びついたスタンスが最大の魅力です。

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ブルックリン美術館 伝統と現代が融合するアートの迷宮

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歴史的外観と現代的リニューアル

本館は古代ギリシャ神殿を思わせる巨大なネオクラシック建築。正面の列柱と大階段は圧倒的な存在感です。2004年には現代建築家James Polshek設計のガラス張りエントランス「グラスパビリオン」が増築され、伝統とモダンが融合した外観に。内部は吹き抜け、自然光のギャラリー、多層的な展示空間で、回遊性と発見に満ちたアートの迷宮です。

Brooklyn Botanic Gardenと一体の都市空間

隣接するブルックリン植物園(Brooklyn Botanic Garden)、プロスペクト・パーク(Prospect Park)と連携し、「自然・市民生活・アートの結節点」を実現。家族連れや散策者、芸術愛好者、コレクター、観光客が思い思いに行き交うニューヨークらしい文化ゾーンを形作っています。

多様性・インクルージョンの徹底

ブルックリン美術館はアメリカ美術館界でもいち早く「多様性(ダイバーシティ)」「包摂(インクルージョン)」を打ち出した先駆的存在です。黒人・アフリカ系、ラテン系、アジア系、女性、LGBTQなど、社会的に周縁化されがちな人々の美術・文化・歴史を積極的に取り上げ、常設・企画展を通じて「すべての人が自分の物語を見つけられる美術館」を目指してきました。

また、展示だけでなく学芸員や運営スタッフの多様性確保、地元とのパートナーシップ、ポリティカルな社会問題(人種、ジェンダー、階級など)への積極的な発信も特徴的です。

現代社会とアートの対話の場

ブルックリン美術館はしばしば現代社会の課題や時事的テーマを展示・イベントの中心に据えています。メトロポリタンやMoMAが「歴史的名作」「前衛美術の巨匠」のコレクション力で勝負する一方で、ブルックリン美術館は現代アーティストによる社会参加型プロジェクト、政治的メッセージ性の強い展覧会、コミュニティとの共同制作、社会運動との連携(例:ブラック・ライヴズ・マターや移民問題など)を積極的に展開。

美術館を「静かな鑑賞の場」ではなく、アートと社会が出会い、対話し、変化を生み出す“生きた現場として位置づけているのです。

ブルックリンの環境と地域密着型美術館の誕生

ブルックリン美術館が多様性にこれほど寛容かつ敏感である背景には、ブルックリン地区そのものが持つ独自のダイバーシティが大きく影響しています。マンハッタンが金融やビジネス、観光の中心地として世界中から多様な人々を受け入れる一方で、人口の構成は比較的所得や教育水準が高い層に偏りがちです。

これに対し、ブルックリンは歴史的に移民や多様な民族が集まり、多様性が生活の中に自然に根付いています。実際、ブルックリンではアフリカ系、ラテン系、アジア系、ユダヤ系、LGBTQ+コミュニティなど、さまざまなバックグラウンドを持つ人々が共存し、地域社会を形成しています。

この多様な住民構成が、ブルックリン美術館の展示やイベント、教育プログラム、アーティスト支援などの方針に直接反映されています。美術館は単なるアートの展示空間ではなく、コミュニティの声を積極的に取り入れ、差別や不平等に対しても積極的に問題提起を行う文化発信の拠点となっています。

多様性を推進する姿勢や、包摂性のあるキュレーションは、しばしばマンハッタンの大規模美術館よりも一歩進んでいると評価されており、地域密着型かつ現代的な美術館運営のモデルケースと言えるでしょう。

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ブルックリン美術館のコレクションと特徴

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総所蔵数150万点、常設展示は約5,000点

ブルックリン美術館は総所蔵150万点超。古代から現代、絵画・彫刻・装飾美術・写真・テキスタイル・現代アートまで、ジャンル・時代・地域を問わず圧倒的なスケールを誇ります。特に古代エジプト美術(全米最大級)、アメリカ黒人・女性・先住民アートの充実度は世界有数です。

常設展示の多様性

  • 古代エジプト美術(棺・彫像・壁画・日用品)

  • ヨーロッパ絵画・彫刻(ルネサンス、印象派、モダニズム)

  • アフリカ・アジア・アメリカ先住民美術

  • 現代アート(女性・有色人種・LGBTQ+作家も多数)

  • アメリカ装飾美術・デザイン/写真/テキスタイル

時代や地域に縛られず、社会・政治・ジェンダー・多様な価値観を問う展示が揃っています。

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ブルックリン美術館 とっておきの20点

Judy Chicago “The Dinner Party”

1979年発表、女性アーティストJudy Chicagoによるインスタレーション。歴史から消された女性たち39人を象徴する皿と刺繍で彩られた三角形のテーブルが圧巻。“フェミニズム・アート”の金字塔であり、現代美術史に名を刻む必見作。

ジャン=ミシェル・バスキア 「無題(骸骨)」

NYストリート出身、80年代現代アートの大スター、バスキアの代表的なグラフィティ・ペインティング。人種・死・権力・アイデンティティをテーマに、社会と自分自身を問い続けたエネルギーが爆発する名作。

アメンエムハト王の像(古代エジプト)

ブルックリン美術館自慢のエジプトコレクションから、中王国時代の王アメンエムハトの石像。リアルな顔立ちと神聖なオーラ、古代王朝の壮麗な宗教観が感じられる重要作です。

ジャン=バティスト・カミーユ・コロー『ヴィル=ダヴレーの思い出』

フランス19世紀の風景画家コローの叙情あふれる油彩。柔らかな光と色彩、詩的な自然観が印象派への橋渡し役となった名品です。

ファラオの棺(サルコファガス)

古代エジプトのミイラ棺や副葬品は圧巻の規模。色鮮やかな装飾、ヒエログリフ、死後世界への祈りが刻まれ、3,000年以上の時を超えた死生観を目の当たりにできます。

オーガスタス・サン=ゴーダンス『エイブラハム・リンカーン像』

アメリカ彫刻界の巨匠によるリンカーン立像。静謐かつ威厳ある佇まいが、民主主義と自由の象徴を体現しています。アメリカ美術の歴史を語る名作。

ファースト・ネーションズの仮面(北米先住民アート)

アメリカ先住民による精霊や動物を表した仮面、儀式具、彫刻など。民族の精神世界・歴史が凝縮され、圧倒的な存在感と造形美に惹き込まれます。

ウィリアム・ブグロー『若き羊飼い』

19世紀フランス写実主義の代表作。ブグロー独特の透明感と柔らかな色彩、人物描写の繊細さが、時代を超えて観る者の心に響きます。

草間彌生『インフィニティ・ミラー・ルーム』

日本を代表する前衛芸術家・草間彌生の体験型インスタレーション。無限に映る水玉と光の空間が、現代美術と心の宇宙を可視化する人気作です。

マリアンヌ・モア『ポエトリールーム』

20世紀アメリカの詩人マリアンヌ・モアの自宅を再現したインスタレーション。詩と美術、生活が交差するブルックリン的な展示です。

エドガー・ドガ『踊り子たち』

印象派の巨匠ドガによるバレリーナのドローイングや絵画。踊り子の一瞬のポーズやしなやかな動きが、躍動感あふれる筆致と繊細な色彩で捉えられています。ブルックリン美術館はヨーロッパ印象派作品も充実しており、フランス美術の光と空気感が楽しめます。

ジョージア・オキーフ『ブルーII』

アメリカ近代美術のパイオニア、オキーフによる抽象的な花の連作。青の濃淡と有機的なフォルムが、生命のエネルギーや女性性、自然の神秘を表現。女性作家の視点をアメリカ美術に持ち込んだ記念碑的作品です。

アンディ・ウォーホル『毛沢東』

ポップアートの旗手ウォーホルが毛沢東をシルクスクリーンで描いた作品。カラフルな色彩、反復するイメージは、メディア時代と消費社会、政治とアートの関係を鋭く問います。ウォーホルの社会風刺の象徴です。

ロバート・コールスコット『George Washington Carver Crossing the Delaware』

アフリカ系アメリカ人画家による歴史の再解釈シリーズ。アメリカ独立戦争の英雄ワシントンを黒人科学者カーヴァーに置き換え、皮肉と風刺を効かせた現代美術の問題作。社会と歴史を再考するきっかけに。

ベッツィ・グレイブス・レイナー『光の中の少女』

20世紀初頭のアメリカ写実主義。柔らかな光を浴びた少女の姿が静謐かつ詩的に描かれ、現実と夢、日常と非日常のはざまを感じさせます。女性画家によるアメリカ絵画史の一頁。

ジャン=レオン・ジェローム『ピュグマリオンとガラテア』

アカデミズム絵画の巨匠ジェロームによるギリシャ神話の名場面。彫刻家ピュグマリオンが自作の女性像に恋し、神の力で命が宿る瞬間をドラマティックに描く。細密な描写と幻想的な世界観が魅力です。

アフリカ・ベナン王国『真鍮の王像』

ブルックリン美術館が誇るアフリカ美術の代表作。ベナン王国の王像は権威と神聖、地域文化の精華を伝えます。植民地時代に奪われた美術品の歴史やリターン運動一環としても注目される一品です。

ブルックリン・ストリートアート(コミュニティ・アート展示)

地元ブルックリンのストリートアーティストによる壁画やインスタレーションが美術館内外に点在。多様な人種・文化の発信地ならではの今を映す現代的アート空間です。SNS映えスポットとしても人気。

日本・江戸時代『葛飾北斎の浮世絵』

日本美術も充実。江戸時代の浮世絵師・葛飾北斎の傑作「富嶽三十六景」などが所蔵され、日本の美が世界の文脈でどう受容されてきたかも体感できます。アジア美術コレクションの一角。

ダニエル・チェスター・フレンチ『死の天使』

アメリカ彫刻の第一人者による、象徴的な天使像。静謐で神秘的な佇まいは、人生と死、精神と肉体の境界を見つめ直させます。美術館の彫刻ギャラリーの静かな名品です。

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市民に開かれた多文化体験のできる美術館

ガイド・ワークショップ・教育プログラム

英語・多言語の無料ガイドツアー、子ども・ファミリー向けワークショップ、現代アートや地域社会と連動した参加型イベントが豊富。地元アーティストとのコラボや、教育現場との連携も進んでいます。

毎月第一土曜は無料

毎月第一土曜は夜間開館・無料入館の「ファースト・サタデーズ」を開催。ライブ音楽、DJ、パフォーマンス、フード、ワークショップが一体となって、市民や観光客で賑わいます。

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アクセス・基本情報

  • 所在地:200 Eastern Parkway, Brooklyn, NY 11238

  • 最寄り駅:地下鉄2/3号線「Eastern Parkway – Brooklyn Museum」駅直結(タイムズスクエアから約30分)

  • 開館時間:水曜~日曜11:00~18:00(木・金は20:00まで/月火休館)

  • 入館料:大人20ドル、学生/シニア12ドル、18歳以下無料(2024年現在/特別展は別料金)

  • 公式サイトhttps://www.brooklynmuseum.org/

バリアフリー/Wi-Fi無料/ロッカー・クロークあり/館内撮影OK(フラッシュ不可)/団体・学校向け予約対応
最新情報は公式サイトでご確認ください。

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まとめ

ブルックリン美術館は、時代・人種・文化・ジャンルを超えて世界の多様な美術・歴史・社会と出会える場所。インクルーシブと多様性の精神、教育やコミュニティ参加型のアート体験。現在を映す開かれた美術館として、ニューヨーク市民はもちろん、世界中の旅行者から愛されています。

あなたもぜひブルックリン美術館で、何も縛られることなく、アート作品を楽しむ自由な感性を解き放ってみてください。

旅・ミュージアム
この記事の著者
Kyoko Bartley

ニュージャージー在住。
幼少期からアメリカの映画やアニメーション、音楽に親しみ、大学ではアメリカ文化を専攻。留学・研究を経て2011年に渡米し、国際結婚、妊娠・出産、現地就職、住宅購入などを通して、外国人としてアメリカ社会で暮らすリアルを経験してきた。

2018年より、在米日本人向けアメリカ生活情報ブログ「なんだろなアメリカ」 を運営。教科書やガイドブックには載らない、実体験にもとづく生活情報や、文化の違いから生まれる「?」を「!」に変える視点を発信している。

また、プリンストンエリアを拠点に画家としても活動し、原画やグッズの制作・販売を行っている。

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