ニューヨークの中心、5番街と42丁目に堂々と構えるニューヨーク公共図書館(New York Public Library, NYPL)は、世界最大級の公共図書館のひとつとして知られています。
重厚な白い大理石の建物と、正面玄関に鎮座する2頭のライオン像は、ニューヨークを象徴するランドマーク。映画や文学、歴史の舞台としても多く登場し、観光客から地元住民まで幅広い人々に愛されています。美しい建築や荘厳な読書室、膨大な蔵書に加え、定期的な展覧会や無料イベントも開催されており、知的好奇心を刺激するニューヨーク散策に欠かせないスポットです。
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ニューヨーク公共図書館の歴史・設立の背景
ニューヨーク公共図書館の本館(スティーブン・A・シュワルツマン・ビルディング)は、アメリカが産業・経済大国として成長した20世紀初頭のニューヨークに、「市民すべてが利用できる知の殿堂」をつくろうという理念から誕生しました。その基礎となったのは、実業家や慈善家たちの寄付による複数の蔵書コレクションと、マンハッタンの高級社交クラブ「アスター・ライブラリー」など私立図書館の合併です。

設計は有名建築家のカレール&ヘイスティングス事務所が担当し、フランス・ルネサンス様式を基調とした壮麗な建物が1902年に着工、1911年に完成しました。建設には大理石が約5万立方メートルも使われ、当時世界最大規模の公共図書館として大きな話題を呼びました。
正面階段を守る2頭のライオン像「Patience(忍耐)」と「Fortitude(不屈)」は市民から愛され、困難な時代を象徴する存在となっています。コロナパンデミックの間は特製のマスクをしていました。
図書館は「無料・公開」を原則とし、移民や労働者、学生から研究者まで、身分や立場に関係なく知識へアクセスできる場所として都市の発展を支えてきました。特に大恐慌や戦時中には、多くのニューヨーカーが情報や学びの場を求めてここに集まりました。今日では、ニューヨーク公共図書館はマンハッタン本館を中心に、全市域に約90支館・研究所を持つ巨大ネットワークを形成し、蔵書数は5500万点以上、世界有数の知の拠点となっています。
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ニューヨーク公共図書館の見どころ・必見スポット
1. 正面階段とライオン像(Patience & Fortitude)
図書館正面に並ぶ2頭の大理石のライオン像は、ニューヨークの“守り神”として親しまれています。クリスマスや特別なイベント時にはスカーフや花輪を飾られ、市民や観光客の記念撮影スポットです。
2. ローズ・メイン・リーディングルーム(Rose Main Reading Room)
本館2階に広がる壮大な読書室。全長約90メートル、天井高16メートルの空間に、巨大な窓から自然光が差し込みます。豪華なシャンデリアと天井画、オーク材の長机と椅子が整然と並ぶ光景は圧巻で、静謐で知的な雰囲気に満ちています。観光客も入室でき、写真撮影も可能です。
3. アスター・ホール(Astor Hall)
大理石造りの優雅なエントランスホール。高さのあるアーチと大階段が美しく、建築美を間近で堪能できます。館内ガイドツアーの出発点にもなっています。
4. 展覧会スペースとレナード・L・ミルバーグ・ギャラリー(Leonard L. Milberg Gallery)
図書館では常時、貴重書や初版本、地図、写真、手稿、現代アートなど多彩なテーマの展覧会が開かれています。世界的な名品や歴史的文書に出会えるのも魅力です。
5. ビル・ブラッシェン・コレクション(Billy Rose Theatre Division)
舞台芸術やミュージカル、演劇の資料コレクションが豊富。ブロードウェイやオフ・ブロードウェイの歴史、初演時のポスターや舞台写真も見学可能です。
地下の児童図書館(Children’s Center)
子ども向け絵本や読み聞かせ、ワークショップが充実した空間。『くまのプーさん』の原画やぬいぐるみコレクションも常設され、家族連れにも人気です。
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地下の地図室(Map Division)
世界各地の古地図や現代地図、航空写真コレクションが膨大にそろい、研究者や歴史ファンに人気のスポットです。
グーテンベルク聖書
世界で現存するごくわずかなグーテンベルク聖書(印刷による最初期の聖書)のうち、ニューヨーク公共図書館にも一冊が所蔵・展示されています。印刷・出版史における人類の遺産です。
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映画・文学・現代アートとの関係
「ティファニーで朝食を」「ゴーストバスターズ」「スパイダーマン」など、多くの映画の舞台やロケ地としても有名です。文学作品の中でも重要な役割を担い、現代アートやインスタレーションの舞台にもたびたび利用されています。

ニューヨーク公共図書館の規模を数字で見る
まず、NYPL全体が誇る蔵書・所蔵資料の数は圧巻です。2024年時点で、図書や雑誌、地図、映像・音声資料、写真、デジタルアーカイブを含めて5,500万点以上にのぼります。書籍だけでも2,400万冊を超え、定期刊行物は約30万種、写真資料は200万点、地図コレクションは45万点以上。世界に48冊しか現存しないグーテンベルク聖書や、15世紀の希少な地図、著名作家の直筆原稿、シェイクスピアの初版本など、人類史に残る貴重な資料も多く収蔵されています。しかも、電子書籍やデジタルコレクションも年々拡充されており、電子書籍蔵書だけでも150万点を数えるまでになりました。
本館の建物そのものも、ニューヨークを象徴するランドマークです。延べ床面積は約65,000平方メートルと、東京ドームの1.4倍に相当します。地下5階までを含めた書庫の書棚総延長はなんと80km以上に達し、その規模はマンハッタンを南北に縦断する距離とほぼ同じです。ローズ・メイン・リーディングルーム(Rose Main Reading Room)だけでも約500席、館内全体で2,000席近くが用意されており、誰でも無料でこの知の空間を利用できます。
ニューヨーク公共図書館は、本館だけでなくニューヨーク市全体に広がる巨大ネットワークを持っています。現在、4つの研究図書館(Research Libraries)と約90か所の分館(地域図書館)があり、総床面積は25万平方メートル超。ニューヨーカーの日常生活と密着した“知のインフラ”として都市機能を支えています。
利用者数も膨大です。全館合計の年間来館者数は約1,700万人に達し、本館だけでも毎年230万人が訪れています。平日には地元住民や学生、研究者、週末や観光シーズンには世界中からの観光客で賑わい、館内は常に活気にあふれています。図書館カード所持者(会員数)は約370万人。誰でも無料でカードを取得でき、書籍や資料の貸し出しサービス、デジタルリソースの利用など、幅広いサービスを享受しています。
年間の貸出冊数はおよそ2,500万冊におよび、1日あたり約68,000点が貸し出されています。紙の本だけでなく、電子書籍やオーディオブック、雑誌、新聞、DVDなど多様なメディアに対応している点が、現代の大都市図書館ならではの特徴です。コロナ禍を経て、オンラインでの貸し出しやバーチャルイベントが飛躍的に増えたことも特筆されます。オンラインサービスの年間利用者は3,500万人超、800以上のオンラインデータベースやリサーチ・ツールが開放され、物理的な図書館の枠を超えた知の拠点へと進化しています。
蔵書とサービスを支えているのは、多くのプロフェッショナルです。NYPLの全館を合わせたスタッフ数は約2,500人、そのうち約800人がライブラリアン(司書資格を持つ専門職)です。彼らは図書館運営、蔵書管理、児童サービス、研究サポート、デジタル化、イベント企画、ITインフラ、セキュリティなど多岐にわたる業務に携わり、多言語対応のスタッフも数多く在籍しています。これはニューヨークという多文化都市の利用者ニーズに応えるためであり、NYPLが世界の図書館の中でも先進的な運営を実現している理由のひとつです。
図書館の建設・運営にも膨大な資源が投じられてきました。本館の建設費は当時の貨幣価値で約900万ドル(現代換算で250億円相当)、大理石だけで5万立方メートル以上が使われました。現在の年間運営予算はおよそ4億5,000万ドル、その60%は民間からの寄付や助成金で賄われています。毎年10万人以上の個人・企業がNYPLへの寄付やサポートを行っているという点も、アメリカならではの市民参加型図書館文化の表れといえるでしょう。
開館初日の記録も驚くべきものです。1911年の開館初日には、5万人もの人々が訪れ、30万件を超える蔵書利用申請が殺到しました。以来、ニューヨーク公共図書館は100年以上にわたり、変わらず「無料・公開」を原則とし、あらゆる人々に開かれた図書館であり続けています。
建物の大改修は過去100年で10回以上行われてきましたが、そのたびに歴史的な美しさを保ちながら、時代の最先端サービスを取り入れ続けています。
ニューヨーク公共図書館は蔵書5500万点、建物面積6万5000平方メートル、1日来館者約4万6000人、年間貸出2500万冊、ライブラリアン約800人、年間運営費4.5億ドル、90以上の分館を持つ都市最大規模の図書館システムです。

ニューヨーク公共図書館の基本情報
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所在地:476 5th Ave, New York, NY 10018(5番街&42丁目)
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アクセス:地下鉄B/D/F/M/7/S/4/5/6/ライン「42 St-Bryant Park」駅徒歩すぐ
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開館時間:月~土10:00~18:00、火・水は20:00まで。日曜12:00~17:00(祝日・行事によって変更あり)
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入館料:無料(特別展は有料の場合あり)
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公式サイト:New York Public Library
ニューヨーク公共図書館が登場した映画やドラマ
ゴーストバスターズ(Ghostbusters, 1984)
冒頭で幽霊が出現し、ゴーストバスターズが初めて依頼を受ける有名なシーンが図書館の地下書庫で撮影されています。
スパイダーマン(Spider-Man, 2002)
ピーター・パーカーが勉強しに図書館へ通う場面や、ベンおじさんと会話するシーンなど、ローズ・リーディングルームが登場します。
ティファニーで朝食を(Breakfast at Tiffany’s, 1961)
主人公ホリーが作家ポールとともに図書館を訪れるシーンがあり、美しい読書室が背景となっています。
ローン・レンジャー(The Lone Ranger, 2013)
主人公が大都会に出てきた際の知識や資料を集めるため、図書館を訪れる場面が使われています。
イタリアン・ジョブ(The Italian Job, 2003)
作戦の打ち合わせのために図書館を訪れるメンバーたちが描かれ、館内の静謐な雰囲気が緊張感を高めています。
セックス・アンド・ザ・シティ(Sex and the City: The Movie, 2008)
キャリーとビッグの結婚式の会場として本館が使用され、美しい階段やエントランスが華やかに映ります。
ウィズダム(Wisdom, 1986)
エミリオ・エステベスとデミ・ムーア主演。主人公たちが図書館で情報収集を行う重要なシーンがあります。
彼女が消えた浜辺(The Disappearance of Eleanor Rigby: Him/Her, 2013)
主人公の心情を描くシーンで、図書館の読書室や蔵書が印象的に映ります。
ウィル・スミスの『アイ・アム・レジェンド』(I Am Legend, 2007)
荒廃したニューヨークで主人公が文明や知識への思いを馳せるシーンで図書館の建物が登場します。
ライブラリー・ラブ・ストーリー(The Librarian: Quest for the Spear, 2004 TV)
冒険ものですが、主人公がニューヨーク公共図書館で働き、知識や歴史の力を生かして事件を解決していきます。
まとめ
ニューヨーク公共図書館は、知識と芸術、歴史と未来が交差する都市の“知のオアシス”です。観光客にも現地の人にも開かれた空間で、美しい建築や蔵書、イベントや展覧会など多様な魅力が満載。ニューヨークを歩く際は、ぜひ立ち寄ってみてください。

