こんにちは、なんだろなアメリカのキョウコ@NandaroAmericaです。
日本からアメリカへ移住した人、国際結婚でアメリカに住んでいる人、長年アメリカで暮らしている人、または将来アメリカで老後を迎える予定の人にとって、気になるのが日本の年金です。
日本で国民年金や厚生年金に加入していたけれど、アメリカに住んでいても日本の年金は受け取れるのか。
日本に住所がなくても請求できるのか。
アメリカの銀行口座へ振り込んでもらえるのか。
日本の銀行口座を残しておいた方がいいのか。
毎年何か書類を出す必要があるのか。
アメリカのSocial Securityと日本の年金は両方もらえるのか。
アメリカで税金はどうなるのか。
これは、在米日本人にとってかなり重要なテーマです。条件を満たしていれば、アメリカに住んでいても日本の年金を受け取ることはできます。
日本年金機構は、海外在住者が日本の年金を請求するための手続きや、海外で年金を受け取るための届出書を用意しています。海外に住んでいる人が年金を請求する場合は、年金請求書に加えて「外国居住年金受給権者 住所・受取金融機関 登録(変更)届」を添付する必要があります。
また、すでに日本の年金を受けている人が海外に住む場合にも、海外住所や受取金融機関を登録する届出が必要です。海外の金融機関を振込先に指定する場合は、金融機関名や口座番号を記入し、口座証明、小切手帳の写し、通帳の写しなどを添付する必要があります。
この記事では、アメリカに住む日本人・元日本人・日系の方が、日本の年金を受け取る時に知っておきたい基本を、できるだけわかりやすく整理します。
ただし、年金や税金は個別事情によって変わります。この記事は一般情報です。実際の請求や税務申告では、日本年金機構、年金事務所、アメリカの税理士、日米税務に詳しい専門家に確認してください。
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- アメリカに住んでいても日本の年金は受け取れるのか
- どんな人が対象になるのか
- まず確認すること
- 海外在住者が日本の年金を請求する時の基本手続き
- アメリカの銀行口座で受け取れるのか
- 受取口座や住所が変わったら届出が必要
- 毎年の現況届を忘れない
- 日米社会保障協定とは何か
- アメリカのSocial Securityと日本の年金は両方もらえるのか
- 日本の年金を受け取るとアメリカのSocial Securityは減るのか
- 日本の年金はアメリカで課税されるのか
- 日本側で源泉徴収される場合があるのか
- アメリカに移住する前にできる準備
- すでにアメリカに住んでいる人が今から確認すること
- よくある質問
- 手続きの流れを簡単にまとめると
- まとめ
- 参考資料・公式リンク
アメリカに住んでいても日本の年金は受け取れるのか
アメリカに住んでいても、日本の年金の受給資格を満たしていれば、日本の年金を受け取ることはできます。日本の年金は、日本国内に住んでいないと絶対にもらえない、というものではありません。
日本で国民年金や厚生年金に加入していた期間があり、老齢年金、障害年金、遺族年金などの受給条件を満たしていれば、海外在住者として請求することができます。ただし、日本国内に住んでいる人と違い、海外在住者には追加で必要な書類があります。
代表的なのが、
外国居住年金受給権者 住所・受取金融機関 登録(変更)届
です。
日本年金機構は、海外に住んでいる人が年金を請求する場合、この届出書を年金請求書に添付する必要があると説明しています。つまり、アメリカに住んでいる場合は、年金の請求書だけでなく、海外住所と受取口座を日本年金機構に正しく登録する必要があります。
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どんな人が対象になるのか
この記事の対象になるのは、主に次のような人です。
日本で国民年金に加入していた人。
日本で厚生年金に加入していた人。
日本で会社員として働いたことがある人。
日本で自営業、学生、主婦、会社員などとして年金保険料を納めたことがある人。
日本からアメリカへ移住した人。
国際結婚でアメリカに住んでいる人。
アメリカ国籍になったが、日本で年金加入歴がある人。
日本とアメリカの両方で働いたことがある人。
アメリカのSocial Securityも、日本の年金も関係しそうな人。
日本での加入期間が短い人も、すぐに諦める必要はありません。日本とアメリカには社会保障協定があります。日米社会保障協定は2005年10月1日に発効しており、日本年金機構はアメリカとの協定情報や申請書を公開しています。この協定により、日本とアメリカの年金加入期間を通算できる場合があります。
たとえば、日本だけでは受給資格期間が足りないけれど、アメリカのSocial Security加入期間と合わせることで、日本の年金の受給資格を満たせる可能性があります。ただし、通算できるからといって、両国の年金が一つに合算されて支払われるわけではありません。日本の年金は日本から、アメリカのSocial Securityはアメリカから、それぞれの制度に基づいて支払われます。
まず確認すること
アメリカに住みながら日本の年金を受け取りたい場合、最初に確認したいのは次の点です。
自分の基礎年金番号がわかるか。
日本で国民年金や厚生年金に何年加入していたか。
日本の年金記録に漏れがないか。
年金請求年齢に達しているか。
日本の最終住所地はどこか。
日本の銀行口座を持っているか。
アメリカの銀行口座で受け取りたいか。
アメリカのSocial Security加入歴があるか。
日本国籍か、アメリカ国籍か、または二重国籍状態の時期があったか。
アメリカの税務上、U.S. person、つまり米国市民・永住者・税務上の居住者に該当するか。
特に大事なのは、年金記録です。
日本で会社員をしていた時期、自営業だった時期、学生だった時期、扶養配偶者だった時期、海外転出後に任意加入していた時期などがある人は、記録が複雑になりやすいです。
また、結婚や離婚、改姓、国籍変更、住所変更、年金手帳の紛失などがあると、記録確認に時間がかかる場合があります。
早めに日本年金機構へ確認することをおすすめします。
海外在住者が日本の年金を請求する時の基本手続き
アメリカに住んでいる人が日本の老齢年金を請求する場合、基本的には日本年金機構の年金請求書を用意し、必要書類を添付して提出します。
日本年金機構によると、海外に住んでいる人が年金を請求する場合、必ず「外国居住年金受給権者 住所・受取金融機関 登録(変更)届」を記入し、年金請求書に添付する必要があります。戸籍や住民票などの添付書類は、受給権発生年月日以降で、かつ年金請求書の提出日から6カ月以内に交付されたものを用意する必要があります。
提出時期は、老齢年金の受給開始年齢に到達した日、つまり誕生日の前日以降です。
提出先は、日本における最終住所地を管轄する年金事務所または街角の年金相談センターです。
ただし、アメリカに住んでいる場合、日米社会保障協定の仕組みにより、アメリカ側の社会保障機関を通して日本の年金を申請できる場合があります。
日本年金機構の英語ページでは、社会保障協定により、協定相手国に住む人は、その国の社会保障機関へ日本年金の申請書を提出できると説明されています。申請書は相手国の機関を通じて日本年金機構へ送られ、日本年金機構が受給を決定し、年金を支払います。
ただし、実際にどこへ出すのが一番よいかは、状況によって違います。
日本での最終住所地、年金記録、アメリカ加入期間の有無、年齢、請求する年金の種類によって変わることがあります。
日本年金機構または年金事務所に確認しながら進めるのが安全です。
アメリカの銀行口座で受け取れるのか
日本の年金は、海外の金融機関の口座で受け取ることもできます。
アメリカの銀行口座を振込先に指定する場合は、金融機関名、支店名、口座番号、ルーティング番号、SWIFTコードなどの情報が必要になることがあります。
日本年金機構は、海外の金融機関を年金の振込先として指定する場合、金融機関名や口座番号などを記入し、その口座証明、小切手帳の写し、通帳の写し等を添付して提出すると説明しています。
アメリカでは、日本のような通帳がない銀行も多いです。その場合、voided check、小切手の写し、銀行発行の口座証明、口座情報が記載された書類などを使うことになる可能性があります。具体的に何が認められるかは、提出前に日本年金機構に確認した方がよいです。
なお、日本の銀行口座に振り込んでもらうことも可能な場合があります。ただし、日本の銀行によっては、非居住者の口座維持に制限があることがあります。
海外在住者が日本の銀行口座を使い続ける場合は、銀行側の規約、住所変更、非居住者扱い、マイナンバー、送金、税務の扱いを確認する必要があります。
受取口座や住所が変わったら届出が必要
アメリカ国内で引っ越した場合や、受取銀行口座を変えたい場合は、日本年金機構へ変更届を出す必要があります。
日本年金機構の英語ページでも、日本の年金を受けている間に住所、銀行口座、受給資格に関係する変更がある場合は、届出が必要だと説明されています。海外在住者の場合、住所変更を放置すると、日本年金機構からの重要な書類が届かなくなる可能性があります。
特に重要なのが、毎年の現況届です。これが届かない、提出できない、期限を過ぎる、ということがあると、年金の支払いに影響する可能性があります。アメリカ国内での引っ越し、結婚や離婚による氏名変更、銀行口座変更、死亡、障害状態の変更などがある場合は、早めに届出をしましょう。
毎年の現況届を忘れない
海外で日本の年金を受け取る場合、年に一度、現況届の提出が必要です。
日本年金機構は、海外に住む年金受給者について、年1回「現況届」の提出が必要であり、提出期限は誕生月の末日だと説明しています。2025年4月以降に誕生月を迎える人については、現況届が誕生月の3カ月前に送付されることになっています。
日本国内に住んでいる人は、住民票情報などで生存確認ができる場合があります。しかし、海外在住者は日本の住民票から外れていることが多いため、年金機構側が生存確認をするために現況届が必要になります。
現況届が届いたら、期限までに提出しましょう。アメリカは郵便事情が日本ほど確実ではない地域もあります。引っ越し後に住所変更をしていないと、現況届が届かないことがあります。また、国際郵便には時間がかかります。誕生月が近づいたら、現況届のことを意識しておくと安心です。
日米社会保障協定とは何か
アメリカに住む日本人にとって大事なのが、日米社会保障協定です。日本年金機構によると、日米社会保障協定は2004年2月19日に署名され、2005年10月1日に発効しました。
この協定には、大きく分けて二つの目的があります。
一つは、社会保険料の二重負担を防ぐことです。たとえば、日本の会社からアメリカへ一時的に派遣される人が、日本とアメリカの両方で年金保険料を払わなければならないと、負担が大きくなります。日米社会保障協定により、一定条件を満たす派遣などの場合、どちらか一方の制度に加入する形に調整できる場合があります。
もう一つは、年金加入期間の通算です。日本だけ、またはアメリカだけでは受給資格期間が足りない場合でも、両国の加入期間を通算して、受給資格を満たせる可能性があります。日本年金機構は、海外在住者が日本や協定相手国の年金を受け取るための期間を満たしていない場合、社会保障協定により、協定相手国と日本の年金加入期間を相互に通算できることがあると説明しています。
ここで注意したいのは、通算は「受給資格を見るため」の仕組みであることです。日本の年金額は、基本的には日本での保険料納付期間などに基づいて計算されます。アメリカのSocial Securityは、アメリカの制度に基づいて計算されます。両方の加入期間を合わせて一つの大きな年金として払われるわけではありません。
アメリカのSocial Securityと日本の年金は両方もらえるのか
日本とアメリカの両方で働いた人は、日本の年金とアメリカのSocial Securityの両方に関係する可能性があります。
条件を満たせば、両方の制度からそれぞれ年金を受け取れる場合があります。ただし、アメリカのSocial Securityには、外国年金を受け取る場合に影響する制度がある場合があります。
代表的なのが Windfall Elimination Provision、WEP です。この話は非常に複雑で、個人の勤務歴、Social Security credits、日本の年金の種類、アメリカでのcovered employmentの期間などによって扱いが変わります。
以前は、日本の年金のような外国年金を受け取ると、WEPやGPOというルールにより、アメリカのSocial Security retirement benefits、spouse’s benefits、survivor’s benefitsが減額される可能性がありました。しかし、Social Security Fairness Act により、WEPとGPOは廃止され、2024年1月以降に支払対象となるbenefitsには適用されなくなりました。したがって、現在は日本の年金を受け取ることだけを理由に、WEP/GPOでSocial Securityが減額されることはありません。ただし、日米社会保障協定による加入期間の通算、Social Securityの受給資格、SSIなど所得制限のある制度、税務申告については別の確認が必要です。日本とアメリカの両方で年金に関係する人は、SSA、日本年金機構、日米税務に詳しい専門家に確認しましょう。
また、逆にアメリカのSocial Securityを日本で請求する場合にも、日米社会保障協定に関係する書類があります。日本年金機構は、日・アメリカ社会保障協定の申請書一覧や、合衆国年金の請求申出書に関する情報を公開しています。
日本の年金を受け取るとアメリカのSocial Securityは減るのか
アメリカに住みながら日本の年金を受け取る場合、気になるのが、アメリカのSocial Securityへの影響です。
以前は、日本の年金のような「アメリカのSocial Security taxを払っていない仕事に基づく年金」を受け取ると、アメリカ側のSocial Securityが減額される可能性がありました。
この代表的なルールが、WEP、Windfall Elimination Provision と、GPO、Government Pension Offset です。
しかし、大きな制度変更がありました。SSA、Social Security Administrationは、Social Security Fairness Act により、2024年1月以降に支払対象となるbenefitsについては、WEPとGPOは適用されなくなった と説明しています。つまり、2023年12月がWEP/GPOの最後の適用月で、2024年1月以降のbenefitsには、これらの減額ルールは適用されません。
以前問題になっていたWEPとは何か
WEP、Windfall Elimination Provision は、かつて、アメリカのSocial Security taxを払っていない仕事に基づく年金を受け取る人のSocial Security退職給付や障害給付を減額する可能性があるルールでした。
たとえば、日本で会社員として働き、日本の厚生年金を受け取る人が、アメリカでも働いてSocial Securityを受け取る場合、かつては日本の年金がWEPの対象になる可能性がありました。
このルールの背景には、Social Securityの計算式が低所得者に比較的手厚く作られているため、アメリカでのSocial Security課税対象の勤務年数が短い人が、外国年金や公務員年金を別に受け取りながら、アメリカ側でも低所得者向けの有利な計算を受けることを調整する、という考え方がありました。
ただし、WEPは非常にわかりにくく、海外在住者や外国年金を受け取る人にとって大きな不安材料でした。
以前問題になっていたGPOとは何か
GPO、Government Pension Offset は、かつて、配偶者給付や遺族給付に影響する可能性があったルールです。
たとえば、自分自身がアメリカのSocial Security taxを払っていない仕事に基づく年金を受け取っている場合、配偶者や亡くなった配偶者の記録に基づくSocial Security benefitsが減額される可能性がありました。
日本の年金を受け取る人が、アメリカ人配偶者のSocial Security spouse’s benefit や survivor’s benefit を受け取る場合、かつてはGPOの影響を心配する必要がありました。
しかし、SSA公式FAQでは、2024年1月以降、WEPとGPOは適用されなくなったと説明されています。配偶者給付や遺族給付についても、2024年1月以降はGPOによる減額はなくなっています。
2024年1月以降はどうなるのか
現在の大事なポイントは、次の通りです。
2024年1月以降に支払対象となるSocial Security benefitsについては、日本の年金のような外国年金を受け取っていても、WEPやGPOによってSocial Securityが減額されることはありません。
SSAは、以前はWEP/GPOにより、Social Security taxを払っていない仕事に基づく年金を受け取る人のbenefitsを減額していたが、2024年1月以降はこれらのルールは適用されないと説明しています。すでにWEP/GPOで減額されていた人については、2024年1月以降に差し引かれた分の返金や月額benefitの調整が行われる可能性があります。
つまり、これから日本の年金とアメリカのSocial Securityの両方を受け取る人にとっては、以前よりかなり安心しやすくなりました。
ただし、Social Securityの受給資格には別の注意がある
WEP/GPOが廃止されたからといって、日本の年金とアメリカのSocial Securityが完全に無関係になるわけではありません。
注意点は別にあります。
まず、アメリカのSocial Securityを自分の勤務歴で受け取るには、通常、アメリカで一定のwork creditsが必要です。
アメリカでの勤務歴だけではcreditsが足りない場合、日米社会保障協定、Totalization Agreement により、日本の年金加入期間を通算して、アメリカ側の受給資格判定に使える場合があります。
SSAは、アメリカと日本の両方でsocial security creditsがある人は、一方または両方の国からbenefitsを受け取れる可能性があり、一方の国の制度だけでは条件を満たせない場合でも、協定によって資格を満たせることがあると説明しています。
ただし、ここで大事なのは、通算は「受給資格を満たすため」に使われるということです。
日本の加入期間を使ってアメリカ側の資格を満たせる場合があるとしても、日本の年金額がそのままアメリカのSocial Security額に足されるわけではありません。
日本の年金は日本の制度で計算され、日本から支払われます。
アメリカのSocial Securityはアメリカの制度で計算され、SSAから支払われます。
日本の年金を受け取ることをSSAへ伝える必要はあるのか
WEP/GPOが廃止された現在でも、Social Securityの申請時や受給中に、外国年金について聞かれた場合は、正直に申告するべきです。
SSAの制度は複数あり、退職給付、障害給付、配偶者給付、遺族給付、SSI、Medicare関連、所得制限など、人によって関係する制度が違います。
特にSSI、Supplemental Security Income は低所得者向けの制度なので、外国年金を含む所得や資産が影響する可能性があります。
この記事で扱っている通常のSocial Security retirement benefits と、SSI は別物です。
日本の年金を受け取っている場合、SSAや税理士に聞かれたら、金額、開始時期、年金の種類、支払元を説明できるようにしておくと安心です。
日本の年金はアメリカで課税されるのか
アメリカに住んでいる人が日本の年金を受け取る場合、アメリカの税務上どう扱われるかを必ず確認してください。
IRSは、外国の年金や年金型給付について、外国政府やその機関、外国の雇用主、外国の保険会社などから受ける年金も foreign pension or annuity distribution に含まれ得ると説明しています。外国年金の収入は、Form 1099などが発行されていなくても、全部または一部が課税対象になる可能性があります。
また、アメリカ市民やresident alienは、原則として全世界所得をアメリカで申告する義務があります。IRSは、U.S. citizens and resident aliensは、どこに住んでいても、どこで所得を得ていても、worldwide incomeがアメリカの所得税の対象になると説明しています。
つまり、アメリカに住む日本人で、米国市民、グリーンカード保持者、税務上の居住者に該当する人は、日本の年金をアメリカの税務申告でどう扱うか、税理士に確認した方がよいです。
日米租税条約により、日本側での源泉徴収が免除される場合や、居住国課税になる場合があります。
日本年金機構の英語ページでは、日本が年金給付に関する所得税条項を含む租税条約を居住国と結んでいる場合、日本の年金は居住国で課税され、日本の所得税が免除されることがあると説明しています。その免除を受けるには、租税条約に関する届出書を提出する必要があります。
日本年金機構の「海外で年金を受け取るとき」のページには、租税条約に関する届出書や、アメリカ用の特典条項に関する付表、様式17-米が掲載されています。
ただし、税金は非常に個別性が強いです。
日本国籍か、アメリカ国籍か。
グリーンカード保持者か。
米国税務上の居住者か。
日本にも所得があるか。
日本の銀行口座を持っているか。
日本で源泉徴収されているか。
アメリカで他の年金やSocial Securityを受け取っているか。
これらによって扱いが変わる可能性があります。日本の年金を受け取る時は、日米税務に詳しい税理士に相談することをおすすめします。
日本側で源泉徴収される場合があるのか
海外在住者が日本の年金を受け取る場合、日本で非居住者として所得税が源泉徴収されることがあります。ただし、日本と居住国の間に租税条約があり、所定の手続きをすると、日本側の所得税が免除される場合があります。
日本年金機構は、老齢年金を受けていて、日本と滞在国が年金の受け取りに関する租税条約を締結している場合、手続きにより税法上非居住者が納めるべき所得税の免除を受けられると説明しています。
アメリカについては、特典条項に関する付表、様式17-米など、追加書類が必要になる場合があります。日本年金機構の「海外で年金を受け取るとき」ページには、租税条約に関する届出書と、特典条項に関する付表、様式17-米が掲載されています。
このあたりは、提出書類を間違えると面倒です。アメリカ在住者が日本の年金を受ける場合、年金請求時または海外転出時に、租税条約の書類についても確認しておきましょう。
アメリカに移住する前にできる準備
まだ日本にいる人、またはこれからアメリカへ引っ越す予定の人は、年金関係を早めに整理しておくと後が楽です。
まず、年金記録を確認します。
ねんきんネットに登録し、自分の加入期間、納付状況、厚生年金記録を見ておくとよいです。
次に、基礎年金番号、年金手帳、マイナンバー、過去の勤務先、加入期間がわかる書類を整理します。
海外転出後に国民年金に任意加入するかどうかも検討します。
日本年金機構によると、海外に居住することになった人は国民年金の強制加入被保険者ではなくなりますが、日本国籍の人であれば国民年金に任意加入できます。
任意加入すると、将来の老齢基礎年金額を増やせる可能性があります。
ただし、任意加入には保険料の支払いが必要です。
日本国籍、年齢、過去の納付状況、将来の居住予定、アメリカのSocial Securityとの関係を考えて決めましょう。
また、日本の銀行口座をどうするかも重要です。
海外転出後に日本の銀行口座を維持できるか、非居住者として利用制限があるかを銀行に確認しておきましょう。
すでにアメリカに住んでいる人が今から確認すること
すでにアメリカに住んでいる人は、まず日本の年金記録を確認しましょう。
年金手帳や基礎年金番号通知書が手元にない場合でも、過去の勤務先や日本の住所、生年月日、氏名変更履歴などから調べられる可能性があります。
日本年金機構に問い合わせる時は、時差があります。
日本の年金事務所へ電話する場合は、日本時間に合わせる必要があります。
また、書類のやり取りは国際郵便になることがあります。
戸籍、住民票、在留証明、銀行口座証明、署名証明などが必要になる場合もあります。
時間に余裕を持って準備しましょう。
特に受給開始年齢が近い人は、誕生日の直前ではなく、数カ月前から準備した方が安心です。
よくある質問
アメリカ国籍になっても日本の年金はもらえますか
日本国籍を失った場合でも、日本で年金加入歴があり、受給条件を満たしていれば、日本の年金を受け取れる可能性があります。
年金は国籍そのものではなく、加入記録と受給資格に基づいて判断されます。
ただし、氏名、国籍、住所、本人確認書類、税務上の扱いなどが複雑になるため、日本年金機構に確認してください。
日本に住民票がなくても請求できますか
海外在住者として請求できます。
ただし、海外に住んでいる人が年金を請求する場合は、通常の年金請求書に加え、「外国居住年金受給権者 住所・受取金融機関 登録(変更)届」が必要です。
日本の銀行口座がなくても大丈夫ですか
海外の金融機関口座で受け取ることもできます。
ただし、アメリカの銀行口座を指定する場合は、口座情報や口座証明などの添付が必要になります。
日本の年金とアメリカのSocial Securityを両方受け取れますか
条件を満たせば、両方の制度からそれぞれ受け取れる場合があります。
ただし、アメリカ側の制度、特にWEPなどの影響を受ける可能性があるため、Social Security Administrationに確認してください。
毎年書類を出す必要がありますか
海外在住者が日本の年金を受け取る場合、年1回の現況届が必要です。
提出期限は誕生月の末日です。2025年4月以降に誕生月を迎える人については、現況届が誕生月の3カ月前に送付されることになっています。
日本の年金はアメリカで税金申告が必要ですか
必要になる可能性があります。
IRSは、外国年金や外国政府からの年金を含むforeign pension or annuity distributionが、全部または一部課税対象になる可能性があると説明しています。
米国市民、グリーンカード保持者、米国税務上の居住者は、全世界所得をアメリカで申告する必要があります。
日米税務に詳しい専門家に確認しましょう。
手続きの流れを簡単にまとめると
アメリカで日本の年金を受け取るための流れは、ざっくり言うと次のようになります。
まず、自分の日本の年金記録を確認します。
次に、受給開始年齢や受給資格を確認します。
海外在住者として年金請求書を用意します。
「外国居住年金受給権者 住所・受取金融機関 登録(変更)届」を記入します。
必要に応じて、戸籍、住民票、在留証明、銀行口座証明、租税条約関係書類を用意します。
日本の最終住所地を管轄する年金事務所、または協定相手国の機関を通じて提出します。
受給開始後は、住所変更、口座変更、家族状況の変更などがあれば届出します。
毎年、誕生月の末日までに現況届を提出します。
アメリカの税務申告で日本の年金をどう扱うか、毎年確認します。
まとめ
アメリカに住んでいても、日本の年金の受給資格を満たしていれば、日本の年金を受け取ることはできます。
海外在住者が日本の年金を請求する場合は、通常の年金請求書に加えて、「外国居住年金受給権者 住所・受取金融機関 登録(変更)届」を添付する必要があります。日本年金機構は、海外に住む人が年金を請求する際、この届出書を必ず添付するよう案内しています。
すでに日本の年金を受けている人が海外に住む場合や、アメリカの銀行口座で受け取りたい場合も、住所や受取金融機関を登録・変更する届出が必要です。海外の金融機関を指定する場合は、口座証明、小切手帳の写し、通帳の写しなどが必要になる場合があります。
アメリカに住む年金受給者は、毎年、現況届を提出する必要があります。提出期限は誕生月の末日で、2025年4月以降に誕生月を迎える人については、誕生月の3カ月前に現況届が送付されます。
また、日本とアメリカには日米社会保障協定があります。協定は2005年10月1日に発効しており、日本とアメリカの年金加入期間を通算できる場合があります。
税金についても注意が必要です。IRSは、外国政府や外国機関からの年金を含むforeign pension or annuity distributionが、全部または一部課税対象になる可能性があると説明しています。 米国市民やresident alienは、原則として全世界所得をアメリカで申告する必要があります。
つまり、アメリカで日本の年金を受け取る時のポイントは、
日本の年金記録を確認すること。
海外在住者用の届出を出すこと。
受取口座を正しく登録すること。
毎年の現況届を忘れないこと。
日米社会保障協定を確認すること。
アメリカでの税務申告を忘れないこと。
この6つです。
日本からアメリカへ渡った人にとって、日本の年金は、自分の人生の一部です。
日本で働いた時間、日本で納めた保険料、日本で過ごした年月が、アメリカでの老後にもつながる可能性があります。
複雑そうに見えますが、一つずつ確認していけば大丈夫です。
まずは、自分の年金記録を確認することから始めましょう。
参考資料・公式リンク
日本年金機構
海外にお住まいの方の年金の請求
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/tetsuduki/kyotsu/seikyu/20161109.html
日本年金機構
年金を受けている方が海外に居住するとき
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/tetsuduki/kyotsu/jukyu/kaigaitenshutsu.html
日本年金機構
海外で年金を受け取るとき
https://www.nenkin.go.jp/shinsei/jukyu/kyotsu/kaigai.html
日本年金機構
海外にお住まいの年金を受けている方が誕生月を迎えたとき
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/tetsuduki/kyotsu/jukyu/kaigaigenkyo.html
日本年金機構
協定相手国別の情報 アメリカ
https://www.nenkin.go.jp/service/shaho-kyotei/kunibetsu/info/america.html
日本年金機構
日・アメリカ社会保障協定 申請書一覧 年金請求手続き
https://www.nenkin.go.jp/shinsei/kyotei/usa/usa-seikyu.html
日本年金機構 英語ページ
Application for Japanese Pension Benefits
https://www.nenkin.go.jp/international/english/agreement/mechanisms/application02.html
日本年金機構
国民年金の任意加入の手続き 日本の年金制度への継続加入
https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/kanyu/20140627-02.html
IRS
The taxation of foreign pension and annuity distributions
https://www.irs.gov/businesses/the-taxation-of-foreign-pension-and-annuity-distributions
IRS
Reporting foreign income and filing a tax return when living abroad
https://www.irs.gov/newsroom/reporting-foreign-income-and-filing-a-tax-return-when-living-abroad
IRS
Japan Tax Treaty Documents
https://www.irs.gov/businesses/international-businesses/japan-tax-treaty-documents
