こんにちは、なんだろなアメリカのキョウコ@NandaroAmericaです。
アメリカにおける日系人の歴史をたどるシリーズも、ここまでで、19世紀後半の初期移民、ハワイ移民、アメリカ本土への移住、差別、生活、人口推移、コミュニティ形成を見てきました。
第7回では、現在の日本からの米国移民の傾向を考えます。
ここで扱うのは、戦前の一世移民とは異なる、現代の日本からアメリカへ移る人々です。
留学生。
企業駐在員。
研究者。
専門職。
国際結婚で移住した人。
アメリカ市民や永住者の配偶者。
永住権を取得した人。
アメリカで子育てをする人。
アーティストやクリエイター。
起業家。
日本企業・日系企業・米国企業で働く人。
老後や家族呼び寄せで移住する人。
現代の日本からの米国移民は、戦前のような「農村から出稼ぎに出る大量労働移民」ではありません。むしろ、教育、仕事、家族、結婚、専門性、研究、国際企業、個人のライフスタイル、子どもの教育、永住・帰化などが複雑に重なった、多様な移住です。
また、現在の日本からの米国移民を考える時には、次の二つを分ける必要があります。
ひとつは、日本国籍を持ったままアメリカに長期滞在している人々です。
もうひとつは、日本出身でアメリカ永住権や市民権を取得した人、または日本にルーツを持つ日系アメリカ人です。
この二つは重なる部分もありますが、統計上は別のものとして扱われることが多いです。
この記事では、現在の日本からの米国移民の傾向を、統計、移住理由、ビザの種類、コミュニティ、世代、言語、アイデンティティの変化という視点から整理します。
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現代の日本からの米国移民は「一つの集団」ではない
現代の日本からの米国移民は、一つの単純な集団ではありません。戦前の一世移民の場合、農業労働、プランテーション労働、出稼ぎ、同郷ネットワーク、家族呼び寄せという流れが大きな軸でした。
しかし現在は、移住の理由が非常に多様です。
アメリカの大学へ留学する人。
大学院や研究機関で学ぶ人。
企業駐在で数年だけ滞在する人。
現地採用で働く人。
アメリカ人や永住者と結婚する人。
子どもの教育を考えて滞在する人。
芸術やクリエイティブ分野で活動する人。
起業や投資で来る人。
日米間の仕事をする人。
永住権を取得し、帰化する人。
親や家族を呼び寄せる人。
同じ日本から来た人でも、生活の基盤、英語力、経済状況、滞在年数、移民制度上の立場、コミュニティとの関わり方は大きく違います。駐在員家庭と、国際結婚で永住した人では、生活の見え方が違います。留学生と、現地企業で働く専門職では、将来設計が違います。日本国籍を保った長期滞在者と、アメリカ市民権を取得した人では、法的立場が違います。この多様性こそが、現代の日本からの米国移民の大きな特徴です。
外務省統計で見る在米日本人
日本政府側の統計で見ると、アメリカは現在も最大級の在留邦人国です。外務省の海外在留邦人数調査統計によると、2024年10月1日現在、海外在留邦人総数は129万3,097人で、そのうち米国在留者は41万3,380人、海外在留邦人全体の32.0%を占めています。
参考資料
外務省|海外在留邦人数調査統計
https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/tokei/hojin/index.html
外務省|海外在留邦人数調査統計 令和6年 2024年10月1日現在
https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/pressit_000001_01645.html
ここで注意したいのは、この数字は「日本国籍を持ち、海外に3か月以上在留する人」を中心とした統計であることです。つまり、アメリカに帰化して日本国籍を失った人は、この外務省の在留邦人数には基本的に入りません。
また、在留届を出していない人や、更新していない人がいる可能性もあります。そのため、外務省統計は「アメリカにいる日本国籍者の目安」として見るのがよいです。一方、日系アメリカ人や、日本にルーツを持つが日本国籍ではない人を含めると、人口規模は別の統計で見る必要があります。
PewとCensusで見る日系人口
アメリカ側の統計では、日本にルーツを持つ人々は、Japanese Americans、Japanese alone、Japanese alone or in combination などとして数えられます。
Pew Research Centerは、2023年時点で、アメリカには約160万人の日本系人口がいると説明しています。日系アメリカ人は、アメリカのアジア系人口の約7%を占める、第6位のアジア系人口集団です。
参考資料
Pew Research Center|Facts about Japanese in the U.S.
https://www.pewresearch.org/race-and-ethnicity/fact-sheet/asian-americans-japanese-in-the-u-s/
ただし、これは「日本から最近移住した人」だけを指す数字ではありません。
戦前移民の子孫。
ハワイの日系人。
二世、三世、四世、五世。
国際結婚家庭の子ども。
複数の人種的・民族的背景を持つ人。
戦後移民とその子孫。
現代日本からの移住者。
これらが広く含まれます。
U.S. Census Bureauは、2020年国勢調査において、Japanese alone人口は741,544人、Japanese alone or in any combination人口は1,586,652人だったと説明しています。
参考資料
U.S. Census Bureau|Asian Indian Was The Largest Asian Alone Population Group in 2020
https://www.census.gov/library/stories/2023/09/2020-census-dhc-a-asian-population.html
ここで重要なのは、Japanese aloneとJapanese alone or in any combinationの違いです。
Japanese aloneは、日本系のみを単独で回答した人です。
Japanese alone or in any combinationは、日本系を含みつつ、他の人種や民族的背景も一緒に回答した人も含みます。
現代の日系人口は、国際結婚や多民族化によって、複数のルーツを持つ人が多くなっています。
そのため、現代の日系人口を見る時は、日本から来た移民だけではなく、日系ルーツを持つ広い人々を含む人口として理解する必要があります。
現代の日本人移住者は「大量労働移民」ではない
戦前の日本人移民は、農村部からの出稼ぎ、労働力需要、ハワイの砂糖産業、アメリカ西海岸の農業や鉄道などと深く結びついていました。しかし現代の日本からの米国移民は、その性格が大きく違います。
日本は戦後、経済成長を遂げ、長く先進国として安定した社会基盤を持つ国になりました。そのため、現代の日本人がアメリカに移住する理由は、「日本で生きられないから大量に出る」というより、教育、仕事、研究、家族、結婚、専門性、個人の選択に近いものが多くなっています。
もちろん、日本社会にも問題はあります。
働き方。
ジェンダー格差。
教育の硬さ。
閉塞感。
賃金停滞。
少子高齢化。
キャリアの選択肢。
国際結婚家庭の暮らしにくさ。
子どもの教育方針。
こうした理由でアメリカに向かう人もいます。しかし、戦前のような農村貧困や労働契約を背景とした大量移民ではありません。現代の日本からの移住は、より個別化され、分散し、階層や職種も多様化しています。
留学から始まる移住
現代の日本人のアメリカ移住の入り口の一つが留学です。高校、大学、大学院、語学学校、専門学校、研究留学、交換留学など、形はさまざまです。留学は、一時的な滞在で終わる人もいれば、その後アメリカで就職、結婚、永住へつながる人もいます。
日本からアメリカへの留学生数は、かつてより減った時期もありますが、アメリカは今も重要な留学先です。一方で、現在は日本から海外へ出る学生数全体が、以前のような勢いではないという指摘もあります。
Open Doorsは、アメリカの国際教育に関する主要な統計を発表しており、アメリカに来る国際学生数や、アメリカ人学生の海外留学先などを毎年公表しています。
参考資料
Open Doors / IIE
https://opendoorsdata.org/
留学生がアメリカで永住につながるかどうかは、専攻、英語力、就職市場、ビザ制度、スポンサー企業、結婚、本人の希望によって大きく変わります。特にSTEM分野、研究職、専門職では、F-1からOPT、H-1B、雇用ベースの永住権へつながる場合があります。一方、文系や芸術系、教育系、フリーランス系の場合は、就労ビザや永住権への道が簡単ではないこともあります。留学は、現代の日本人移住の入口の一つですが、誰でもそのまま移民になれるわけではありません。
企業駐在と日系企業ネットワーク
現代の在米日本人を考える上で、企業駐在員の存在は大きいです。
日本企業、日系企業、商社、製造業、金融、物流、IT、自動車関連、製薬、食品、教育、サービス業などで、アメリカへ赴任する人がいます。企業駐在員は、戦前の一世移民とはまったく違う性格を持ちます。多くの場合、会社がビザ、住居、保険、学校、引っ越しを支援します。滞在期間は数年単位で、いずれ日本へ帰る前提の人も多いです。駐在員家庭は、現地校、補習校、日本語教育、配偶者のキャリア、子どもの進学、医療、車社会、税金、帰国準備など、独特の課題を抱えます。
しかし、駐在は「移民」なのかというと、やや複雑です。法律上は長期滞在者ですが、本人の意識としては「一時滞在」のこともあります。一方で、駐在から現地採用へ移る人、永住権を取る人、帰国せずにアメリカに残る人もいます。つまり、企業駐在は、現代の日本人移住の入り口でありながら、必ずしも永住型移民とは限らないのです。
専門職・研究者・高度人材としての移住
現代の日本からの米国移民には、専門職や研究者として渡米する人もいます。
大学研究者。
ポスドク。
医療・理系研究者。
エンジニア。
データサイエンス。
AI・IT分野。
金融。
デザイン。
芸術。
教育。
起業。
こうした人々は、専門性を背景に、J-1、H-1B、O-1、E-1、E-2、L-1、雇用ベースのグリーンカードなど、さまざまな制度を使って滞在することがあります。
U.S. Citizenship and Immigration Services、USCISは、雇用ベースのビザ、家族ベースの移民、永住権、帰化などに関する公式情報を提供しています。
参考資料
USCIS|Green Card
https://www.uscis.gov/green-card
USCIS|Working in the United States
https://www.uscis.gov/working-in-the-united-states
現代の日本人移民の特徴は、「低賃金労働者として大量に来る」というより、専門性、学歴、語学力、企業ネットワーク、家族関係、個人のキャリアが移住に関わる点です。
ただし、高度人材であっても、ビザ制度は複雑です。
雇用主に依存する。
ビザ更新の不安がある。
配偶者の就労制限がある。
子どもの教育と滞在資格が関係する。
グリーンカード取得まで時間がかかる。
転職に制限が出る。
こうした不安定さは、現代移民特有の課題です。
国際結婚による移住
現代の日本からアメリカへの移住で、非常に大きな流れの一つが国際結婚です。アメリカ市民や永住者と結婚し、配偶者としてアメリカへ移住する人がいます。この場合、移住の動機は仕事や留学だけではなく、家族形成です。
国際結婚での移住には、独特の特徴があります。
移住先が配偶者の住む地域になる。
大都市の日系コミュニティに住むとは限らない。
日本語環境が近くにない場合がある。
子どもの言語教育が家庭任せになりやすい。
親族・友人・日本人ネットワークから孤立しやすい。
離婚やDVなどの問題が起きると、移民資格・親権・経済面で複雑になる。
国際結婚による移住は、日系コミュニティを大きく作るより、全米各地に日本出身者が点在する傾向を強めます。つまり、現代の日本人移住者は、チャイナタウンやコリアタウンのような大きな民族街に集まるというより、配偶者の仕事、子どもの学校、住宅地、郊外、地方都市に分散して暮らすことが多いのです。この分散性は、現代日本人コミュニティが見えにくい理由の一つです。
子育て世代と継承語教育
現代の日本からの米国移民にとって、大きな課題の一つが子どもの教育です。アメリカで子どもを育てる日本人家庭は、現地校、日本語、補習校、継承語、アイデンティティ、大学進学、差別、アジア系としての立場など、複数の問題に向き合います。特に、国際結婚家庭や永住家庭では、子どもがアメリカで育つにつれて、日本語維持が難しくなります。
家庭では日本語を話す。
土曜日に補習校へ通う。
日本の祖父母と話す。
日本へ一時帰国する。
漫画や本で日本語を維持する。
日本語を諦める家庭もある。
英語中心に切り替える家庭もある。
どの選択が正しいかは家庭によって違います。
ただ、戦前の日系二世が英語社会と日本語家庭の間で育ったように、現代の子どもたちも、別の形で二つの文化の間にいます。大きな違いは、現代ではインターネット、オンライン日本語教育、動画、電子書籍、SNS、日本との航空移動があり、日本との接続が戦前よりはるかに簡単になっていることです。一方で、現地に日本人コミュニティが少ない地域では、親がかなり意識的に日本語環境を作らないと、子どもの日本語は維持しにくくなります。
現代の日本人コミュニティは点在型・オンライン型
現在の日本人・日系コミュニティは、戦前の日本人街のような形とは違います。もちろん、ロサンゼルス、ニューヨーク、サンフランシスコ、シアトル、ホノルル、シカゴなどには、日本人・日系人の文化施設、補習校、日本食スーパー、日本人会、商工会、日系団体があります。しかし、現代の日本人コミュニティは、必ずしも一つの街に密集しているわけではありません。
むしろ、次のような形になりやすいです。
補習校型。
日本人会型。
駐在員型。
国際結婚家庭ネットワーク型。
SNSグループ型。
文化イベント型。
日系アメリカ人の歴史保存型。
日本語教育型。
ビジネスネットワーク型。
特にSNSやオンラインコミュニティの存在は大きいです。
Facebookグループ、LINE、Instagram、Threads、ブログ、YouTube、オンライン掲示板、子育てグループなどを通じて、日本人同士が情報交換をすることが増えています。
これは、現代の日本人移住者が分散していることへの対応でもあります。近所に日本人がいなくても、オンラインなら情報が得られます。病院、学校、ビザ、税金、子育て、食品、仕事、離婚、DV、親の呼び寄せ、介護、日本語教育など、実生活に直結する情報がオンラインで共有されます。この点で、現代の日本人コミュニティは、地理的な民族街よりも、情報ネットワークとして機能している面があります。
なぜ現在の日本人コミュニティは大きく見えにくいのか
中国系、韓国系、ベトナム系、インド系などのコミュニティと比べると、現在の日本人コミュニティは、相対的に大きく見えにくいことがあります。これにはいくつかの理由があります。
第一に、日本からの新移民が他のアジア系集団ほど大規模ではないことです。
Pew Research Centerによると、アメリカのアジア系人口は2000年の1,190万人から2023年の2,480万人へと2倍以上に増えています。中国系、インド系、フィリピン系、ベトナム系、韓国系などは、現在も大きな人口集団として存在しています。
参考資料
Pew Research Center|Key facts about Asians in the U.S.
https://www.pewresearch.org/short-reads/2025/05/01/key-facts-about-asians-in-the-us/
第二に、日本人移住者は分散しやすいことです。
企業駐在員は企業の所在地へ行き、国際結婚の人は配偶者の地域へ行き、研究者は大学や研究機関へ行きます。そのため、全員が日本人街に集まるわけではありません。
第三に、戦前の日系コミュニティは第二次世界大戦中の強制収容で大きな打撃を受けました。戦前に存在した日本人街、農業コミュニティ、日本語学校、商店、新聞、宗教施設は、1942年以降の強制退去によって破壊されました。戦後、再建はされましたが、戦前のような密集した日本人街がすべて戻ったわけではありません。
第四に、日系アメリカ人は世代が進んでいるため、英語化・多民族化・国際結婚が進んでいます。三世、四世、五世になると、日本語を話さない人も多く、日本文化との距離も家庭によって違います。
第五に、日本人移住者の中には、アメリカの中に日本人コミュニティを作るより、現地社会に直接入っていく人もいます。仕事、学校、結婚、子育てを通じて、英語社会に分散して生活する人が多いのです。
そのため、現在の日本人コミュニティは「ない」のではなく、見え方が違うと考えるべきです。大きな民族街型ではなく、点在型、教育型、イベント型、オンライン型、専門職型、家族ネットワーク型になっているのです。
現代の日本人移住者が抱える課題
現代の日本からの米国移民は、戦前の日系移民とは違う条件にいます。しかし、楽なことばかりではありません。現代には現代の困難があります。
ビザの不安定さ。
医療費の高さ。
保険制度の複雑さ。
子どもの教育制度の違い。
英語での手続き。
税金と二重生活。
日本の親の介護。
国際結婚家庭の法的問題。
離婚や親権問題。
日本語継承の難しさ。
孤独。
差別やアジア人ヘイト。
就労許可の制限。
配偶者のキャリア断絶。
老後の医療・年金問題。
特に、家族や実家から離れていることは大きな問題です。
子育て中に頼れる親族がいない。
病気の時に助けが少ない。
高齢の親が日本にいる。
日本へ帰るべきか、アメリカに残るべきか悩む。
子どもの国籍・教育・言語で悩む。
現代の移住は、飛行機やインターネットのおかげで物理的には便利になりました。しかし、心理的・制度的には、まだ多くの孤独と複雑さがあります。
戦前移民との共通点と違い
現代の日本人移住者と戦前の一世移民は、社会的条件が大きく違います。戦前の一世は、帰化できず、土地所有を制限され、排日運動にさらされ、強制収容という国家的な人権侵害を経験しました。
現代の日本人移住者は、法制度上はアジア系として市民権取得も可能であり、教育や専門職への道もあります。この点は大きく違いますが、共通点もあります。
異国で生活を築く
言語の壁に向き合う
子どもの教育を
日本との距離を
自分のアイデンティティを考える
地域社会との関わり方を探す
家族を守る
これは、時代が変わっても移民に共通するテーマです。戦前の一世と現代の日本人移住者を同じものとして扱うことはできませんが、同じ「日本からアメリカへ移動した人々」として、歴史の中でつながっている部分はあります。現代の私たちは、過去の日系人が築いた歴史の後にいます。彼らが経験した差別、排除、強制収容、戦後再建を知ることは、今アメリカに暮らす日本人にとっても大切です。
現代の日本人移民は「新一世」と呼べるのか
現代の日本からの移住者を、新一世と呼ぶことがあります。これは、戦前の一世とは区別して、戦後以降に日本からアメリカへ移住した第一世代を指す言葉として使われることがあります。ただし、新一世という言葉も、使い方には注意が必要です。
戦前の一世は、帰化不能、排日運動、土地所有制限、強制収容という歴史を背負った世代です。現代の新一世は、留学、仕事、結婚、専門職、駐在、永住など、別の条件でアメリカに来ています。
両者は同じ「日本生まれの第一世代」ではありますが、歴史的経験は大きく違います。そのため、現代の日本出身者を新一世と呼ぶ場合は、戦前の一世と同じものではなく、戦後・現代の移住者として区別する必要があります。
これからの日系・日本人コミュニティ
現在の日本からの米国移民は、数としては決して小さくありません。外務省統計では、米国は海外在留邦人が最も多い国です。
しかし、現代の日本人コミュニティは、かつてのような日本人街中心の形ではありません。これからの日系・日本人コミュニティは、次のような方向に充実していく可能性があります。
日本語教育と継承語支援。
国際結婚家庭の支援。
子育て情報の共有。
高齢化する在米日本人のケア。
日本の親の呼び寄せや介護情報。
ビザ・永住・帰化の情報共有。
アジア系差別への対応。
日系人史の継承。
オンラインと地域活動の組み合わせ。
日系アメリカ人と新しい日本人移住者の接点作り。
特に重要なのは、戦前からの日系アメリカ人と、現代の日本人移住者の間をどうつなぐかです。両者は同じ日本ルーツを持ちながら、言語、文化、歴史経験、社会的立場が違います。
戦前からの日系アメリカ人は、アメリカ史の中で日系人として生きてきた人々です。
現代の日本人移住者は、日本社会で育ち、アメリカへ移った人々です。
この二つの経験は違いますが、対話することで、日系人史をより豊かに理解できるはずです。
まとめ
現在の日本からの米国移民は、戦前の一世移民とは大きく性格が違います。
戦前の日本人移民は、ハワイの砂糖産業やアメリカ西海岸の農業・労働市場と結びついた、出稼ぎ型・労働型の移民が中心でした。
一方、現代の日本からの米国移民は、留学、企業駐在、専門職、研究、国際結婚、家族移民、永住、帰化、子育て、ライフスタイルなど、非常に多様です。
外務省の海外在留邦人数調査統計によると、2024年10月1日現在、米国には41万3,380人の在留邦人がいるとされ、米国は海外在留邦人が最も多い国です。
一方、Pew Research Centerは、2023年時点でアメリカには約160万人の日本系人口がいると説明しています。これは、日本国籍者だけでなく、戦前移民の子孫、日系アメリカ人、複数ルーツの人々、現代の日本出身者を含む広い数字です。
現代の日本人移住者の特徴は、分散性です。
戦前のように日本人街に集中するのではなく、企業、大学、研究機関、配偶者の地域、子どもの学校、住宅地、郊外、地方都市に広がって暮らします。
そのため、日本人コミュニティは、中国系、韓国系、ベトナム系、インド系のような大規模な生活圏として見えにくいことがあります。
しかし、それは日本人コミュニティが存在しないという意味ではありません。
補習校、日本語学校、日本人会、日系文化センター、商工会、SNSグループ、子育てネットワーク、国際結婚家庭のつながり、日系人史を保存する団体など、現代の日本人・日系コミュニティは、点在型・オンライン型・教育型・文化継承型として存在しています。
現代の日本からの米国移民は、戦前の日系移民とは違う条件にいます。
しかし、異国で生活を築き、言語の壁に向き合い、子どもの教育を考え、日本との距離を考え、アメリカ社会の中で自分の居場所を作るという意味では、過去の日系人史とつながっています。
日系人の歴史を学ぶことは、過去を知るためだけではありません。
今アメリカに暮らす日本人が、自分たちの立ち位置を考えるための土台にもなります。
参考資料・公式リンク
外務省
海外在留邦人数調査統計
https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/tokei/hojin/index.html
外務省
海外在留邦人数調査統計 令和6年 2024年10月1日現在
https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/pressit_000001_01645.html
e-Stat
海外在留邦人数調査統計
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?toukei=00300100&tstat=000001055779
U.S. Census Bureau
Asian Indian Was The Largest Asian Alone Population Group in 2020
https://www.census.gov/library/stories/2023/09/2020-census-dhc-a-asian-population.html
Pew Research Center
Facts about Japanese in the U.S.
https://www.pewresearch.org/race-and-ethnicity/fact-sheet/asian-americans-japanese-in-the-u-s/
Pew Research Center
Key facts about Asians in the U.S.
https://www.pewresearch.org/short-reads/2025/05/01/key-facts-about-asians-in-the-us/
U.S. Citizenship and Immigration Services
Green Card
https://www.uscis.gov/green-card
U.S. Citizenship and Immigration Services
Working in the United States
https://www.uscis.gov/working-in-the-united-states
U.S. Department of State
Directory of Visa Categories
https://travel.state.gov/content/travel/en/us-visas/visa-information-services/all-visa-categories.html
Open Doors / Institute of International Education
https://opendoorsdata.org/
Japanese American National Museum
History and mission
https://www.janm.org/about/history
Densho
Japanese American history resources
https://densho.org/

