米国の図書館で長年司書のヘッドだった義母が贈ってくれる絵本は、いつもとてもよく考えられています。
ただ子供が読む本というだけではなく、私が娘と一緒に読むことを想定して選んでくれているのだと思います。そのため、子供向けの絵本でありながら、私自身の心もいっぱいになる作品が多いです。
今回紹介する Grandfather’s Journey は、まさにそういう一冊です。
現在アメリカにお住まいの日本出身の作家 Allen Say さんによる絵本で、作者のおじいさまが昔アメリカに渡り、第二次世界大戦を機に日本へ戻り、その後、作者自身が大人になってアメリカに暮らす、という物語です。
静かで、深くて、やさしい本です。
アメリカで生まれたお子さんに、親はどうして日本からアメリカへ来たのか、なぜ二つの国に心があるのか、そういう話をするきっかけにもなる絵本だと思います。
この記事は、親が子供に読んであげる本を紹介する目的で書いています。購入前に親御さんが内容を確認できるように、あらすじや本の中身に触れますので、ネタバレを含みます。お子さんに初めて読む前に内容を知りたくない方はご注意ください。
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Grandfather’s Journey 英語で読み聞かせ
こんにちはー。キョウコ@NandaroAmericaです。
アメリカで育つ子供に読んであげたい英語の絵本、児童書、定番本、そして日本とアメリカの間で暮らす家庭に響く本を紹介しています。
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買った動機
義母が贈ってくれた
この本は、義母が贈ってくれました。
義母の本のセレクションはいつも面白いです。アメリカで子供が読む有名な本、文学的に価値のある本、読み聞かせに向いている本、そして私と娘の背景を考えて選んでくれているのだろうなと思う本が多いです。
この Grandfather’s Journey は、まさにそういう本でした。
作者は Allen Say さん。日本出身で、現在アメリカに住む作家・イラストレーターです。
Allen Say さんの作品はいくつもありますが、どれもとても静かな物語です。読んでいる間に、部屋の空気がしーんとなるような美しさがあります。
派手な展開で子供を引っ張るタイプの本ではありません。
静かに読んで、静かに考える本です。
日本出身の在米親に深く響く
この本は、子供向けの絵本ではありますが、私のように日本からアメリカに移住した人が読むと、かなり心に来る本だと思います。
おそらく、アメリカに移住した日本人、あるいは二つの国の間で生きている人でないと、ここまでじーんとは来ないかもしれません。
もちろん誰が読んでも美しい本です。
でも、私みたいな立場の人が一番深く楽しめる本なのではないかと思います。
どんなお話か
おじいさんがアメリカへ渡る
この本では、作者のおじいさまが若い頃に日本からアメリカへ渡ります。
海を越え、アメリカの大地を見て、さまざまな景色に触れます。
異国の広さ。
新しい土地。
見たことのない風景。
日本とは違う文化。
そうしたものに出会いながら、おじいさまはアメリカに惹かれていきます。
第二次世界大戦を機に日本へ戻る
その後、物語は第二次世界大戦の時代に入ります。
おじいさまは日本へ戻ります。
ここに、この本の静かな重さがあります。
単なる旅行や冒険の話ではありません。
単なる移住成功物語でもありません。
戦争があり、国と国の関係が変わり、人の人生も動かされます。
日本とアメリカの間に生きた人々の人生には、個人の意思だけではどうにもならない歴史の流れが入ってきます。
作者自身がアメリカへ住む
作者は、そのおじいさまのもとで育ちます。
そして大人になった作者自身が、今度はアメリカに暮らすようになります。
おじいさまがかつて渡った国に、孫である作者が暮らす。
二つの国の間を、世代を超えて人が行き来する。
この流れだけを書くと、とてもシンプルです。
でも、そのシンプルさの中に、いろいろ考えさせる余白があります。
この本が移住者に響く理由
二つの国に心がある感覚
日本からアメリカに移住した人は、程度の差はあっても、二つの国に心がある感覚を持つことがあると思います。
アメリカに暮らしている。
でも日本で生まれ育った。
今の生活はアメリカにある。
でも過去や記憶は日本にある。
家族が日本にいる。
子供はアメリカで育つ。
自分はどちらに属しているのか。
そういう感覚です。
Grandfather’s Journey は、その二つの国の間にある心の揺れを、とても静かに描いています。
有事の時にどこへ行くのかを考える
私自身、結婚でアメリカに移住しました。
もし帰化手続きをしなければ、有事の時は日本に帰るのだろうか。
自分の人生は、最終的にどちらの国に結びついているのだろうか。
子供はアメリカで生まれ育つけれど、私の中には日本がある。
二つの国で生きた人生は、後から見るとこういうふうに見えるのだろうか。
この本を読んで、いろいろ考えました。
絵本なのに、かなり大きな問いを投げかけてきます。
親の移住の話を子供にするきっかけになる
アメリカでお子さんが生まれたご家庭の場合、子供にとってアメリカは日常です。
親がなぜ日本からアメリカに来たのか。
どうしてアメリカに住むことになったのか。
日本とはどんな場所なのか。
親にとって日本はどういう存在なのか。
アメリカで暮らすとはどういうことなのか。
こうした話は、子供が小さいうちはなかなか自然に出てきません。
でも、この本を読むと、そういう話をするきっかけになります。
うちはなぜアメリカにいるのか。
お母さんはどうして日本から来たのか。
日本に帰りたいと思うことはあるのか。
二つの国を持つってどういうことなのか。
親子で話す入り口として、とても良い本だと思います。
文章と絵の美しさ
静かな物語
Allen Say さんの作品は、静けさがあります。
派手な演出で泣かせるのではなく、言葉と言葉の間、絵と絵の間に、読者が自分の気持ちを置ける余白があります。
この本も、出来事だけを追うとシンプルです。
でも、その中に、
移住。
憧れ。
郷愁。
戦争。
帰国。
家族。
記憶。
世代。
居場所。
こういうものが全部入っています。
絵が心に残る
絵もとても美しいです。
静かで、落ち着いていて、懐かしい感じがあります。
アメリカの風景も、日本の風景も、どちらも丁寧に描かれています。
絵本ですが、大人が眺めても深く味わえる本です。
何歳くらいに向いているか
文章は3年生くらいまで向け
文章の難易度としては、3年生くらいまで向けだと思います。
ただ、テーマはかなり深いです。
小さい子にも読み聞かせはできますが、内容を深く理解するのは少し大きくなってからかもしれません。
何度も読み返したくなる本
この本は、一度読んで終わりというより、年齢を変えて何度も読みたい本です。
小さい頃は、絵と旅の話として。
少し大きくなったら、家族の話として。
さらに成長したら、移住や戦争の話として。
大人になったら、故郷と居場所の話として。
読む時期によって、受け取り方が変わると思います。
日本出身の親に特におすすめしたい理由
子供より親が先にしみる
この本は、おそらく子供よりも、日本出身の親に先にしみる本です。
特に、アメリカに移住した方。
国際結婚でアメリカに住んでいる方。
アメリカで子供を育てている方。
日本に親や家族がいる方。
自分の子供がアメリカ人として育っていくのを見ている方。
こういう方には、かなり深く響くと思います。
自分の人生と重なる
移住者として、自分を投影できる部分があります。
日本を出たこと。
アメリカで暮らすこと。
日本に帰る時の感覚。
アメリカへ戻る時の感覚。
どちらにも完全には属しきれない感覚。
でも、どちらも自分の一部である感覚。
この本には、その揺れが静かにあります。
長所
日米をつなぐ移住の物語
日本とアメリカの間で生きる人に響く絵本です。
親子で深い話ができる
なぜ移住したのか、故郷とは何か、家族の歴史とは何かを話すきっかけになります。
絵と文章が美しい
静かで、余白のある美しい作品です。
大人にも響く
子供向けですが、在米日本人の親にこそしみる本だと思います。
何度も読み返せる
年齢や人生の段階によって、受け取り方が変わる本です。
短所
小さい子にはテーマが深い
幼児には内容の背景まで理解するのは難しいかもしれません。
派手な展開はない
静かな物語なので、刺激的な話が好きな子には少し地味に感じるかもしれません。
移住経験がないと深く刺さりにくいかもしれない
もちろん誰でも読めますが、日米の間で生きている人の方がより深く感じる本だと思います。
買うのに向いている人
アメリカに住む日本出身の親御さん
特におすすめです。
アメリカで生まれた子供に親の移住の話をしたい方
親がなぜアメリカに来たのかを話すきっかけになります。
日本とアメリカの両方に心がある家庭
二つの国を持つ感覚を伝える本として使えます。
静かな名作絵本を探している方
派手さはありませんが、心に残ります。
向かない人
明るく楽しいだけの絵本を探している方
この本は静かで深い本です。
小さい子にわかりやすい展開を求める方
幼児には少し難しいかもしれません。
移住や戦争の背景に触れたくない方
第二次世界大戦を背景に含むため、親の補足が必要になる場合があります。
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満足度
満足度は星5つです。
☆☆☆☆☆
静かで、深くて、在米日本人の親にとても響く作品です。
英語絵本としてだけでなく、移住者としての自分の人生を見つめる本としても大切にしたい一冊です。
今日の英語
Grandfather’s Journey
おじいさんの旅
journey
旅
immigration
移住
immigrant
移民
homeland
故郷、祖国
war
戦争
Japan
日本
America
アメリカ
memory
記憶
belonging
帰属、居場所の感覚
He moved from Japan to America.
彼は日本からアメリカへ移住しました。
He missed both countries.
彼は二つの国を恋しく思いました。
まとめ
Grandfather’s Journey は、日本とアメリカの間で生きる人に深く響く、静かで美しい英語絵本です。
今回紹介した本はこちらです。

作者は、日本出身で現在アメリカに住む Allen Say さんです。この作品では、作者のおじいさまが昔アメリカへ渡り、第二次世界大戦を機に日本へ戻り、その後、作者自身が大人になってアメリカに暮らすまでの流れが描かれています。
お話そのものはとても静かです。でも、その中には、移住、故郷、戦争、家族、記憶、二つの国に心がある感覚が込められています。
私自身、結婚でアメリカに移住した立場として、自分を投影できる部分がありました。帰化しなければ有事の時は日本に帰るのだろうか、二つの国で生きる人生とはこう見えるのだろうか、といろいろ考えさせられました。
アメリカで生まれたお子さんに、親がなぜ日本からアメリカに来たのかを話すきっかけにもなる本だと思います。
おそらく、アメリカに移住した日本人だからこそ、深くじーんと来る本です。アメリカで子育てをしている日本出身の親御さんには、特におすすめしたい一冊です。

