またまた、司書だった義母が送ってくれた、アメリカの名作絵本の紹介です。
今回紹介する The Snowy Day は、雪の日に外へ出て遊ぶ子供の一日を描いた、とても静かで美しい絵本です。
一見すると、ただの可愛らしい雪の日の絵本に見えます。
でも、この本がアメリカで出版された時代背景を知ると、この作品がどれほど意味のあるものだったのかが見えてきます。
このブログを見てくださっている方の中で、この本の存在がいかに大きな意味を持つものなのか、すでにご存知の方はどれくらいいらっしゃるでしょうか。
アメリカ人と結婚し、アメリカに住み、アメリカで育児をするという経験は、私にいろいろなことを気づかせてくれました。この本も、私の目を覚まさせてくれた作品の一つです。
この記事は、親が子供に読んであげる本を紹介する目的で書いています。購入前に親御さんが内容を確認できるように、あらすじや本の中身に触れますので、ネタバレを含みます。お子さんに初めて読む前に内容を知りたくない方はご注意ください。
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The Snowy Day 英語で読み聞かせ
こんにちはー。キョウコ@NandaroAmericaです。
アメリカで育つ子供に読んであげたい英語の絵本、児童書、定番本、そしてアメリカ社会や文化を考えるきっかけになる本を紹介しています。
今回ご紹介する商品はこちらです。

The Snowy Day は、Ezra Jack Keats によるアメリカの名作絵本です。雪の日の朝、主人公の男の子 Peter が外へ出て、雪の中を歩いたり、足跡をつけたり、雪遊びをしたりするお話です。
文章はとてもシンプルで、小さいお子さんにも読み聞かせしやすい本です。
でも、大人が読むと、この本が持つ社会的な意味に、しばらく考え込んでしまいます。
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買った動機
司書だった義母が送ってくれた
この本は、もともと図書館の司書だった義母が送ってくれました。義母はとてもリベラルな人物です。
夫と私が結婚してから、私は夫の家族との間で、文化の違いによる理不尽な衝突やトラブルを経験したことがありません。また、なに人がどう、どこの国がどう、という悪口や偏見、差別的な発言を聞いたこともありません。
もちろん、息子が日本人と結婚したら、気をつけてそういうことを言わないだけでは、と思われるかもしれません。でも、10年以上付き合いがあれば、気をつけているだけの人なら、どこかでボロが出てもおかしくないと思います。
少なくとも今のところ、義母は人種差別に関して、かなり確固たる哲学を持ち、それを実行している人物だと感じています。これは、国際結婚をして、自分がマイノリティの立場になっている身としては、非常にありがたいことです。
義母の選書には意味がある
義母が送ってくれる絵本は、ただ有名だから、可愛いから、というだけで選ばれている感じではありません。
アメリカで育つ娘にとって大事な本。
日本出身の母親である私にも読んでほしい本。
アメリカ社会を理解する上で避けて通れない本。
親子で一緒に読むことで、何か話すきっかけになる本。
そういうものが多いです。
The Snowy Day も、まさにそういう一冊でした。
The Snowy Dayはどんな本か
雪の日の子供の一日を描いた絵本
お話そのものは、とてもシンプルです。
主人公の Peter が、雪の日の朝に外へ出ます。
雪の上に足跡をつける。
雪の感触を楽しむ。
棒で雪をつつく。
雪だるまを作る。
雪の中で遊ぶ。
家に帰る。
一日の終わりを迎える。
それだけです。
でも、その「それだけ」がとても美しい。
子供が雪の日に感じる静かな興奮、外へ出た時の新鮮さ、雪の上を歩く楽しさが、やさしく描かれています。
小さい子にも読みやすい
文章は簡単です。
英語が苦手な親御さんでも読み聞かせしやすいと思います。
赤ちゃんから幼児、プレスクール、キンダーくらいまでのお子さんに向いています。
雪の日の本なので、冬の読み聞かせにもぴったりです。
ニュージャージーのように雪が降る地域に住んでいると、子供も自分の体験と重ねやすいと思います。
この本が特別な理由
黒人の子供が主人公であること
The Snowy Day が特別なのは、黒人の男の子 Peter が主人公であることです。
今の私たちの感覚では、黒人の子供が雪の日に外で遊ぶ絵本は、普通のことのように思えるかもしれません。
でも、この本が出版されたのは1960年代です。
当時のアメリカは、まだ公民権運動の真っ只中でした。
黒人と白人が学校、公共施設、トイレ、仕事、住む場所など、あらゆる面で分け隔てられていた時代の記憶が、社会の中に色濃く残っていました。
そんな時代に、この本は、黒人の子供を主人公として、しかも特別な苦難や差別の物語としてではなく、ごく普通の子供の日常として描いたのです。
これは、とても大きなことです。
普通の暮らしとして描かれていること
この本のすごいところは、黒人の子供が主人公であることを、大げさに説明しないところです。
Peterは、ただ雪の日を楽しむ子供として描かれます。
黒人だからこう。
差別されているからこう。
社会問題としてこう。
という描き方ではありません。
彼は、雪を見てワクワクする子供です。
窓の外の雪を眺め、外へ出て、足跡をつけ、雪遊びを楽しむ。
それは、どの子供にもある一日です。
でも、当時のアメリカ社会において、黒人の子供が「普通の子供」として、絵本の中心に置かれること自体が、とても大きな意味を持っていたのだと思います。
郊外的な日常の中にいること
この本は、黒人の子供を、貧困や苦難の象徴として描いていません。
Peterは、普通に暮らし、普通に遊び、普通に家に帰ります。
この「普通」が大事なのです。
誰が普通の子供として描かれるのか。
誰が絵本の主人公になれるのか。
誰の日常が美しいものとして扱われるのか。
The Snowy Day は、そこに静かに答えを出した作品だと思います。
1960年代のアメリカを考える
当時の社会背景
この本が出版された1960年代のアメリカでは、黒人に対する差別がまだ堂々と存在していました。
マーティン・ルーサー・キング牧師などの公民権運動があり、社会が大きく変わろうとしていた時代です。
法律上の平等が少しずつ整っていく前後の時期で、今から見ると信じられないような制度や習慣が、ほんの少し前まで存在していました。
私たちが今いるアメリカは、そういう過去の上にあります。
今も差別はあります。
でも、当時のあからさまな制度的差別を考えると、この絵本が出版されたことには、かなりの勇気と意味があったのだろうと思います。
白人読者にとっての驚き
今の2020年代の感覚では、黒人の子供が雪の日に遊ぶのは当然のことです。
でも、1960年代の白人読者にとっては、この本を見て驚きがあったかもしれません。
差別意識の強い人の中には、不快感や怒りを持った人もいたかもしれません。
なぜ黒人の子供が絵本の主人公なのか。
なぜ普通の家庭の子供として描かれているのか。
なぜ自分たちの子供が読む本に出てくるのか。
そう感じた人もいたかもしれません。
だからこそ、作者と出版社は偉いと思うのです。
この本を出したこと、残したこと、広めたことには意味があります。
アメリカで育児する親が読んでおきたい理由
子供には普通の雪の日の本として読める
子供にとっては、この本は普通に読めます。
雪だね。
Peter楽しそうだね。
足跡つけてるね。
雪で遊んでるね。
寒そうだけど楽しそうだね。
それで良いと思います。
小さい子に最初から社会的背景をすべて説明する必要はありません。
まずは、雪の日の楽しい絵本として読めば良いのです。
大人は背景を知って読む
でも、大人は、この本の背景を知っておくべきだと思います。
なぜこの本が名作なのか。
なぜアメリカの児童文学史で重要なのか。
なぜ義母がこの本を送ってくれたのか。
なぜアメリカで子育てをする親が、この本を避けずに読むべきなのか。
そこを考えながら読むと、まったく違う本に見えてきます。
アメリカで子育てするなら避けないで通りたい
永住する人も、短期で住んでいる人も、国際結婚でない人も、アメリカで子育てをするなら、アメリカの人種の歴史と無関係ではいられません。
学校にも、図書館にも、街にも、歴史にも、今の社会にも、人種の問題はあります。
The Snowy Day は、小さい子に読めるとてもやさしい絵本でありながら、その背景にはアメリカ社会の大きな問いがあります。
アメリカで子育てをするなら、ぜひ避けないで通ってほしい一冊です。
禅問答です。
義母のリベラルな姿勢とこの本
本の選び方にも価値観が出る
義母がこの本を送ってくれたことには、意味があると思います。
孫に読ませたい。
日本出身の嫁にも読んでほしい。
アメリカの名作として知ってほしい。
アメリカで育つ子供に、多様な主人公の本を自然に読ませたい。
そういう気持ちがあったのではないかと思います。
絵本の選び方には、その人の価値観が出ます。
どんな子供を主人公として扱うか。
どんな暮らしを普通として見せるか。
どんな社会を子供に見せたいか。
The Snowy Day は、そういう意味でもとても大事な本です。
マイノリティとしての自分にも響く
私はアメリカで暮らす日本出身者として、自分がマイノリティであることを日々感じます。
黒人の歴史と、アジア系移民の経験はもちろん同じではありません。
でも、自分が多数派ではない社会にいることで、アメリカの人種や文化の問題を、以前よりずっと身近に感じるようになりました。
The Snowy Day を読むと、誰が「普通の子供」として描かれるのかということの重要さがわかります。
絵本に自分と似た子が出てくること。
自分のような子供が大切に描かれていること。
自分の暮らしも物語になること。
これは、子供にとってとても大事なことだと思います。
絵本としての魅力
絵が美しい
The Snowy Day は、絵がとても美しいです。
雪の日の静けさ。
白い世界。
赤いスノースーツを着たPeter。
街の中の雪。
子供の小さな足跡。
とても印象に残ります。
派手な絵本ではありませんが、何度も眺めたくなる美しさがあります。
雪の日の子供の感覚がよく描かれている
子供にとって、雪の日は特別です。
朝起きて、外が白い。
音が少し静か。
いつもの道が違って見える。
外に出たくなる。
足跡をつけたい。
雪を触りたい。
何かを作りたい。
その感覚が、とてもよく描かれています。
英語が読みやすい
英語は比較的簡単です。
英語で読み聞かせを始めたい親御さんにも向いています。
小さいお子さんにも、雪の日の体験と結びつけて読みやすいです。
長所
アメリカ児童文学史の重要作品
単なる可愛い絵本ではなく、アメリカの絵本史において意味のある作品です。
小さい子にも読みやすい
内容はシンプルで、幼児にもわかりやすいです。
大人が考えさせられる
人種、表象、普通の暮らし、出版当時の社会背景について考えます。
絵が美しい
雪の日の静けさがよく描かれています。
アメリカで子育てする親に読んでほしい
子供向けでありながら、アメリカ社会を理解する入り口になります。
短所
背景を知らないと意味に気づきにくい
子供には普通の雪の日の本として読めますが、大人が背景を知らないと、この本の重要性を見落とすかもしれません。
派手な展開はない
静かな日常を描いた本なので、派手な物語が好きな子には地味に感じるかもしれません。
雪のない地域では実感しにくいかも
雪が降らない地域に住んでいるお子さんには、雪の日の感覚が少し遠いかもしれません。
買うのに向いている人
アメリカで子育てをしている方
特におすすめです。
アメリカの名作絵本を知りたい方
定番として押さえておきたい一冊です。
子供に多様な主人公の本を読ませたい方
黒人の男の子が普通の日常の主人公として描かれている重要な本です。
雪の日の絵本を探している方
冬の読み聞かせにもぴったりです。
アメリカ社会や人種の歴史を考えたい親御さん
子供向けの本ですが、大人にも深く響きます。
向かない人
派手なストーリーを求める方
この本は静かな日常の絵本です。
明るくにぎやかなキャラクター本を探している方
刺激的な展開はありません。
社会的背景を考えずに軽く読みたい方
もちろん軽く読めますが、背景を知るとかなり考えさせられます。
満足度
満足度は星5つです。
☆☆☆☆☆
子供には雪の日の美しい絵本として、大人にはアメリカの歴史と表象について考える本として読める名作です。
アメリカで子育てをしている方には、ぜひ一度読んでほしい一冊です。
今日の英語
The Snowy Day
雪の日
snow
雪
snowy
雪の
footprints
足跡
snowball
雪玉
snowman
雪だるま
winter
冬
outside
外
quiet
静かな
Peter went outside to play in the snow.
ピーターは雪で遊ぶために外へ出ました。
The snow covered everything.
雪がすべてを覆っていました。
まとめ
The Snowy Day は、雪の日に外へ出て遊ぶ男の子 Peter の一日を描いた、アメリカの名作絵本です。
今回紹介した本はこちらです。

子供には、雪の日のワクワクを描いたシンプルで美しい絵本として読めます。英語も読みやすく、幼児への読み聞かせにも向いています。
しかし大人が読むと、この本が持つ社会的な意味に気づかされます。この本が出版された1960年代のアメリカでは、まだ黒人に対する差別が社会に色濃く残っていました。そんな時代に、黒人の子供が主人公として、特別な苦難ではなく、普通の雪の日の暮らしの中で描かれたことには大きな意味があります。
義母がこの本を送ってくれたことにも、私は意味を感じました。アメリカで育つ子供に読ませたい本であり、日本出身の親である私にも読んでほしい本だったのだと思います。
アメリカで子育てをするなら、ぜひ避けずに読んでほしい一冊です。子供にはやさしい雪の日の絵本として、大人にはアメリカ社会と人種、表象、普通の暮らしを誰が描かれるのかという問いを考える本として、大切に読みたい作品です。
