アメリカのウォルマート 現地での悪評・アンチのいる理由・体感について

アメリカの大手スーパーウォルマートは、世界一の売り上げを誇る会社でありながら、米国内を中心に、そのビジネスモデルと影響力に対し、悪評が根強くあることも現実です。

この記事ではウォルマートのやり方で米国の反対派にとっては何が問題となっているのか、米国に生活しているからこそ体験している筆者の周りのウォルマートに対する意見もまとめてあります。

アメリカのウォルマート 現地での悪評・アンチのいる理由

こんにちはー。キョウコ@NandaroAmericaです。

アメリカに暮らしていたら一度は買い物に行くであろう、ウォルマート。アメリカ国内に約5000箇所の店舗があり、世界24カ国に10500店舗出店しています。そして年間の売り上げは世界一の5600億ドルと言われ、経営者のウォルトン一族の総資産は8億円に上ると言われています。

経済的に大成功を収めているウォルマートは1945年に雑貨店から始まり1969年に創業。70年代までに店舗数を増やして米国の消費者文化の成長と共にアメリカでの小売業での座を欲しいがままにしました。

しかしながら、90年代からは悪評も定着し、新たな出店候補地ではボイコットが起きるエピソードなども有名になりました。ビジネスモデルや経営方法に反対派・アンチも多いウォルマートですが、実際のところ売り上げは伸びており、近年は従来の経営方針を改善し、最低賃金だった時給を少しずつ上げたり、従業員の大学の学費も支払うなどの制度も整備され始めています。

この記事ではウォルマートにアンチが多い背景と、最近の従業員への待遇の改善などをまとめました。



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アメリカのウォルマートにはなぜ反対する人が多いのか

ウォルマートの公式サイトはこちら https://www.walmart.com/

とても有名で多種多様な商品を低価格で売っているウォルマートだが、実は米国内では賛否が分かれることで有名な企業。

アメリカ国外では時々ニュースや記事などで報道されることもあるが、アメリカに住まなければ気づかない実際の雰囲気や体感もお伝えできたらと思う。

米国にはウォルマートのビジネスモデルやブラック企業体質、そしてそれを戦略の一環として公言していた創立者の発言を嫌う「アンチ」が存在する。

ウォルマートが批判される問題点

ウォルマートの「問題」とされる点は色々ある。(Wikipedia参照

  1. 低賃金
  2. 労働環境
  3. 従業員への医療保険
  4. 反労働組合の考え方
  5. 店内の劣悪な環境とサービス
  6. 低品質の商品
  7. AEDの設置がない店舗が多い
  8. アメリカ国外での劣悪な労働環境
  9. 地域の個人商店への悪影響
  10. 海外からの輸入に頼る米国経済への影響

以上がWikipediaにてまとめられている主なウォルマートの問題点。一つずつ見て行きます。



ウォルマートの問題点1&2 低賃金・労働環境について

ウォルマートの時給はとても低いと有名。コストコ、ターゲット、ウェグマンズは従業員への対応が手厚いと有名な大手スーパーマーケットだが、ウォルマートはその州の法律で定める最低賃金ギリギリだったり、またブラック体質で有名なアマゾンよりも劣悪な労働環境であると悪名が高い。

それでいて労働は肉体労働のものもあるので、他のスーパーマーケットでの労働と賃金のバランスと比べ、かなり厳しいと有名。

逆に、高校生の夏の間のアルバイトなどで「誰でも雇ってくれるから初めての仕事としてはゲットしやすい。働くことが覚えられる。」としても定番。



ウォルマートの問題点3 医療保険

ウォルマートは極力従業員の厚生福利をミニマムに抑えて利潤を上げることに集中するやり方を実行していることでも有名である。

ウォルマートが従業員向けに提供している医療保険は、その州政府によって設けられている医療保険よりも内容が悪く、それならば自腹でも州政府の医療保険を買ったほうがいいと判断する従業員もいるため、全体としてウォルマートが会社として従業員に提供している保険の総額が低くなっている。

アメリカの医療保険の現状はとても複雑・劣悪で、他の先進国とはかけ離れたシステムである。また、医療費がとても高額であるので、医療保険に入っていないと簡単に自己破産してしまう。米国の自己破産の原因の一位が高額な医療費によるものである。

通常、大企業に就職できているのであれば、会社の提供する(会社が負担をする)医療保険に入ることができ、従業員の負担する額もなしか、低く抑えられるのが常である。そのため、人々はきちんとした保険を提供してくれる企業に頑張って就職しようとする。

しかし、ウォルマートは企業としては大手中の大手であるにも関わらず、従業員への還元を極力抑えるという方針。なので医療保険に明らかに現れている。これは創設者が公言している彼らのビジネスモデルなので、ここに賛同しないのなら、なるべくウォルマートで働くべきではないと思う。

しかし、それでも働かざるを得ない人たちがいる現況を、我々は文句を言う前に考えるべきではないだろうかと私は個人的に思っている。



ウォルマートの問題点4 反労働組合の考え方

ウォルマートは長らくの間反労働組合の考え方で経営をしている。

過去に起きたこととしては、大規模な運動があったものの労働組合に加入せず、内部で解決しようとしたため、その体質が広く知られるようになったり、カナダのケベック州での店舗で組合化されたものの、いくつかの運営内容が組合の認可を得れないと察し、数ヶ月後に閉店したことなどがある。また2005年には組合化させないよう賄賂を使っていた幹部が辞任する出来事もあった。

2010年代に入ってからは、従業員のサンクスギビング休暇が取れないことや、低賃金、医療保険の内容の改善などをめぐってストライキが起きたりしている。



ウォルマートの問題点5 店内の劣悪な環境とサービス

高速道路や幹線道路沿線の、常に人の出入りが激しい店舗は治安もいいが、貧困層の多い地域の住宅地のど真ん中にウォルマートがほぼ単独で出店している店舗は、雰囲気・治安ともに劣悪であることもある。

治安について

近年、売り上げが伸びない店舗も目立っており、店員の質の低下(これについては後述する)や客入りの減少など、負のスパイラルに陥ってしまった場合、夜間の駐車場や店舗で犯罪も多くなっていると言われている。

実際に私がオハイオで住んでいた広大な、延々と続く住宅地内に忽然と存在していたウォルマートは、夜になると駐車場で発表事件があったり、昼間でも怪しい人がたむろしていたりするなど、よくない光景もあった。そしてその近隣の地価はウォルマートが出来てから下がってしまった。ここからウォルマートの出店によるコミュニティへの負の影響のスパイラルが始まる。

店内の雰囲気について

多くのウォルマートの店舗の中に入ると、非常にシンプルであまり「見栄えや雰囲気にお金を使っていない」印象を受けると思う。

一見、コストコやホームディーポのような倉庫店と変わりがない作りである。

アメリカのスーパーマーケットなどでは日常茶飯事の光景であるが、買い物客が買い物中に放置した商品が目立つことも多い。(これはウォルマートに限ったことではない)

店員のサービスについて

ホールフーズやトレーダージョーズのような空間づくり、ホスピタリティ、スタッフの献身的な印象、何か聞けば丁寧に教えてくれる、というのは大体の店員さんには無縁であることが数回行くとわかるかと思う。レジの人も楽しそうではなく、殺伐としている場合も多い。「ハーイ!元気?」とか、ちょっとした会話も交わせないことが多い。

彼らはおそらくそんな余裕がなく働いているし、また、「この賃金でそこまで求められるとは想定していない」はずである。店員さんの素晴らしいサービスや愛想のいい対応を期待していくのであれば、消費者は事前に勉強してから違うお店に行くべきである。

米国ではこういった従業員の態度・教育の表れは賃金に直結するのは明らかで、文化としても深く根付いている。多くの従業員が「そんなことができるほどの賃金はもらっていないから私はしない。」と言える雰囲気・社会である。

なので消費者は「企業それぞれの顔・特徴」を理解しておくべき。

従業員の幸福度がナンバーワンのスーパーマーケットWegman’sの店員さんたちは常にサービス精神旺盛で、教育されていて、幸せそうである。

ウォルマートの店員さんがこうではないのは何故なのか、なぜ、そこで働く人がいるのかを、好きか嫌いか、行くか行かないかの前に、消費者は深く考えるべきであると思っている。



ウォルマートの問題点6 低品質の商品

ウォルマートでは商品をローコストで売ることに集中しているので、他店が絶対に真似できない低価格で売られている商品が多々ある。そこで、近隣の大手のスーパーマーケットやメーカーが独占禁止法などでウォルマートを訴えることがある。販売価格が「安すぎる」問題である。以前、薬局の処方薬を製造元が求める金額よりもはるかに安い値段で売っている件が話題に上がったことがある。

しかし、ウォルマートはその骨太の基盤があるために、薄利多売でも利潤が出たり、他店が真似できない低価格で売る目玉商品を設けて販売をし、総合的には利益を上げることが可能である。

その骨太さがない企業や、特に個人事業はウォルマートに勝てないことになる。

また、食品や薬品のように細かい品質表示が法律で定められていないカテゴリの商品以外に有害な物質が含まれるものも販売されていた例、有名商品の模造品などで訴えられた例、などがある。



ウォルマートの問題点7 AEDの設置がない店舗が多い

AEDは多くの公共の施設の中に設置されている緊急時の蘇生装置である。

アメリカもコミュニティやカウンティなどで、設置をするようにプログラムの参加を求められる。

しかし、ウォルマートの多くの店舗では法律で義務付けられていない限り、設置を拒否している。このため、大手で、大規模の店舗を持つ企業としてのモラルが問われている。

ウォルマートの問題点8 アメリカ国外での劣悪な労働環境

アメリカ、そして世界に言えることであるが、現在我々が手が届く価格で物が買えているのは、中国やその他途上国での製造に頼っているからである。

ウォルマートは中国やバングラデシュなどに製造の工場を持っているが、労働者の就業時間、時給などが著しく劣悪なのと、労働時間外の(住み込み)生活環境も非常に問題があるケースがしばしば報道される。狭い部屋に何人も押し込めて眠らせたり、安全対策のない工場で働いていた労働者が火災により100人以上命を落とした事故もある。



ウォルマートの問題点9 地域の個人商店への悪影響

ウォルマートが出店するとその地域の個人商店は潰れるという理由で、誘致の際にボイコットが起きるケースもある。ウォルマートのビジネスモデルは、よく取り上げられ、賛否が分かれる。

有名なウォルマートの出店の戦略

ウォルマートのやり方に反対する人の多くは「地元の個人商店に打撃を与えるのは倫理的なやり方ではない」「行き過ぎたキャピタリズム」などのビジネス面と、「従業員の低賃金や保険がない、労働組合がないこと」などのブラック企業体質を指摘する。

ウォルマートの出店方法は、開店から数ヶ月は激安で販売する。その間、周りの零細企業、個人商店のほとんどはウォルマートの商品の値段の安さには敵わず、全滅する。そして、ウォルマートは全滅して競合がなくなったら値段を徐々に上げて、戻す。

この結果、地元の企業が多大なダメージを受け、さらに消費者も本当に安い買い物ができたのは最初の数ヶ月だけで、あとは出費は元に戻る。さらに言えば、ウォルマートしか買い物ができるところがなくなっているので、ウォルマートが値段を上げたら、以前よりも消費者は困る可能性をはらんでいる。

さらに、業績が悪いと判断した場合は、ウォルマートはその地を去る場合もある。そうなると、その地域には、もう何も残っておらず、住民にとっては大変なことになる。

地元の労働者も巻き込まれる負のスパイラル

元々あった地元の零細企業や小売店が潰れた後、多くの人はウォルマートで働くことになる。

ウォルマートで働いても州のの定める最低賃金ギリギリだったり、会社が提供する医療保険の内容はよくなく、労働者にも良いことがない。

さらに、ウォルマートの利潤のほとんどは本部に行くので、地元消費者の使ったお金が地元に戻ってくることが少なくなる。その地域のキャッシュフローが変わってしまうことが問題とされている。(しかし、これはウォルマートだけに限ったことではなく、大手のチェーン店全てがこの傾向はある。ウォルマートの影響力が特に大きいのが問題と言えるだろう)

個人的にはこういう企業内容でも世界一の売り上げを上げられる結果はとても面白いと思う。



ウォルマートの問題点10 海外からの輸入に頼る米国経済への影響

ウォルマートの製品の多くはアメリカ国外での生産に頼っている。安く物を提供しようと追求すれば、当然アメリカ国外で物を作るしかないのは目に見えている。

アメリカで生産すれば人件費は高くなるのは明らかで、ウォルマートで買い物をするからこそ生活が成り立っている人の暮らしは大きく影響を受ける。

実際にインフレ率が年平均4%あるアメリカの暮らしは、年々物価が徐々に上がって来ているのを日々体験する。人は当然貯金をしたいし、どこで節約しようかと考えたらまず日々の衣料品や食料、そして大型家電などの高額出費の際はなるべく安く買いたいと思うのは自然な流れである。

そんなニーズにウォルマートのようなお店が応えてくれているわけだが、影響力が大きい企業だからといって、ウォルマートだけを叩くのは論点がずれていると感じる。先進諸国のほとんどの製品は中国などから来るので、世界は生産国ありきの構図に長い間頼りきっていること自体を指摘すべきと思う。



まとめ ウォルマートは悪いのか?

創業当時から現在までここまで上り詰めたウォルマートは、批判される内容があったとしても、結論からするとビジネスと戦略がとても上手いのである。

アメリカ人が大事にするアメリカン・ドリームを純粋に追求すると、このようなモンスター企業が誕生する。

多くの批判を受け、長い間にネガティブな印象が強く根付いてしまったウォルマートだが、近年はビジネスの携帯の改革を始めている。

労働環境を改善するために従業員の最低賃金を上げたり、労働者の大学の学費を支払うなど(指定している10箇所の大学への進学のみ)の福利の充実も徐々に始まっている。

また、ウォルマートは大規模災害時などには必ず生活必需品を被災地に大量に寄付するなどでも有名である。

2020年からのパンデミックを受け、早朝は老人や免疫力の低い人たちのために優先時間帯を設けたり、非常に使いやすいネットやアプリで、ピックアップやデリバリーで商品を受け取れるシステムの開発も迅速に取り組んだ。

大企業であるからこそ、良い対処をする際に大きなコストをかけられるのも強みである。

私は個人的には、これまでのウォルマートの内容に問題があったとしても、発生の背景と追い風はアメリカそのものの原動力が大きく関わっているのだし、この企業を例に学ぶことはいろいろあると思っている。消費者が意見を持つことは当然自由で、嫌ならば利用しなければいいだけだが、大多数がそうではなかった結果、このような状況を作ったはずである。

ウォルマートだけでなく、アマゾンも似た影響力を持ち、危険視する人も多い。しかし、こういう流れも含め、全てが時代の変化という環境要素でもあるので、やはりビジネスがうまいところが変化も柔軟にしながら生き残るのだと思う。




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