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アメリカ中西部のアジア人差別体験談まとめ

国際結婚

有色人種お断りの町で育った夫

私の夫の両親はとてもよく働く、研究と教育関連の仕事をしていた人たちです。教育方針は夫の年齢からしたら、結構進んでいた考え方をしている「善良な」家庭だと感じます。

ただ、義父はガッチガチの科学者で、平均的なアメリカ人とはものの捉え方が随分と違います。

ここで私が勝手にいう「平均的なアメリカ人」、というのは「宗教感があって、物事の道理にその思想がいくらか入っていて、教会にはいくものの結構道楽を楽しむ、リラックスした感じがある」家庭です。オハイオはとても宗教心が強く、言葉の端橋に神のご加護を感謝する表現が出てくる人が多いです。

白人オンリーの地域の教育水準vs不自然な偏りの異質さどっちを親として取るか

しかしながら、夫一家のように、ある意味現代の日本的な家庭「神様と関連づけないで考える」人たちは夫の実家の地域では結構浮いています(今でも)。私はオハイオに住んでしばらく経ってから周りの人に「祈れ、祈れ」「神に感謝しろ」などかなり言われたことがあります。

旦那曰く、そんな地域の公立学校はとても「教育レベル」は高いのだけれど、逆に多文化共存や、人種やエスニシティの問題になるとどうしたらいいのかわからない人ばかりでとても閉鎖的な白人のみのコミュニティだったそうです。

右vs左 でもある

でも、私からしたらそんなにリベラルで人種差別は全然しなくて、むしろ外国人と分け隔てなく行きているスタイルの思想の家庭がなんでわかってそんな偏った白人オンリーの地域に家を買ったのか、と疑問ですが、彼曰く「教育レベルが高いから」だそうです。

旦那的にはその学校の排他的な雰囲気をものっすごく毛嫌いしていたので、それは結果として別に良くはなかったんじゃないのかと色々矛盾が理解できないでいます。というか、政治的に旦那の家庭は左なのに超右が95%な地域によく住もうと思ったよね、とわからないことばかり。

アメリカの生活の疑問をがっつり考えようとするとこの政治的右左の問題に必ず行き着くので、私は旦那と結婚してから大変ポリティカルな影響を受けました。というか、それまでぼんやりしていた目が覚めましたねえ。

有色人種は優しくしてくれる人が多かった

そういった町が存在する地域ですので、異文化の人を警戒したり、毛嫌いする「ゼノフォビア」の白人が結構いました。バス停やお店などで子連れの私が子供が泣いたり、雪の中風で毛布が飛んだりすると、助けてくれようとするのは黒人、アジア人の人でした。当然周りに白人の方はいます。

割合からすると有色人種3割、白人7割といった感じ。でも有色人種の方が率先して助けてくれるんだ。

最初の1、2年は人種的なものは関係していないと思いたかったのもあって、「たまたま有色人種の方が助けてくれたのかも」と思っていたけれど、さらに数年経って「白人に優しくされたことがとても少ない」という偏りに気づいてしまった。

今では私は黒人、アジア人、の皆さんに恩義を感じていて、私の中では彼らにもっと親しみを持っている。悲しいかな経験からくるこういう偏りは、やはり差別意識の火種になってしまうと思う。

しかし私には子供がいるし、現実を把握するためにも、ある程度の「構え」はしなくてはならないから、しょうがないと思っています。

旦那(白人)が一緒だと白人との距離がぐっと近くなる件

私の夫は大柄な白人です。スーパーなどに行くと結構目立つ長身で、彼が荷物を持って娘を抱っこしたままドアを開けようとしたり、物を落としたりすると拾ってくれる人がかなりの確率で白人さんであることに気づきました。そして、白人さんが夫に話しかけ、娘を褒めてくれたり、立ち話に花が咲くのが白人さん。

私が一人で娘を連れて買い物や病院に行く際には絶対見られない光景です。私だけで平日娘と歩いていると、何気無く挨拶したり、声をかけてくれて会話をしたりするのは黒人さんとアジア人さんが7割くらい。

初対面での立ち話はアジア系の人が多いし、気さくに食材について話したり聞いてくるのは黒人さんが多い。(アボカドってどう食べるのー?とか、これ美味しいか知ってる?とかこれ今日は安くなってるねーとか気軽に話しかけてくれて嬉しい。)

しかし旦那と週末スーパーに行ったりモールに行ったりすると突如白人さんエクスペリエンスが増える。店員以外で声をかけてくれる人の7割が白人さんといった感じで、それまで私は見えていなかった、人間に共通して潜んでいる「仲間意識」のようなものの存在を感じてしまった。

気づいてしまったねー。

気づいてしまうと目立ってくるよね、自分の中で。

そして当然旦那と一緒にいるときは私は変な人から「アジア人は出て行け」とかは言われないので、私が平日一人の時体験することを旦那は全く知る由もなく生きています。

こういうところだよね。旦那は一生経験しないんだよなー。

スーパーも地域によって品揃えが違う&面白い矛盾

こんな「中の中レベル以下」の地域のスーパーでは品揃えがまた違って、アジア人向けの食材や、高級とされるシーフードはほとんど置いていない。まあまあアジア人は(少ないけど)いるんだけどねえ。ベトナムとか中国とか韓国の方は結構いらっしゃるんだよねえ。だからと言ってアジアンマーケットもないんだ。

面白いのが、アジア人(有色人種として)が全く住んでいない地域の同系列スーパーには大きなエスニックフードコーナーがあり、そしてお高いシーフードも豊富にある。店員さんも教育された感じで対応が違う。おそらく時給が違うんだと。

アジア人住んでいない地域の店なのにアジアン食材がおいてあるって滑稽だと思った。シーフードは高いから中間以下の家庭ではなかなか買われないから置かない、というのはわかる。

移民が少ない地域&白人優位の文化が根強く残るオハイオ

現在「(性とか性別とか人種とか文化とかの)多様性を認めよう」とか、「ダイバーシティ」という言葉がアメリカでは盛んに叫ばれて、センシティブになっていますが、オハイオ州は「最も平均的な」アメリカである、といまだに言われています。

ダイバーシティ(各文化、民族性などのバラエティを認め合う)を勧めるのであれば、今だに文化の尺度を計ろうと「平均」するという発想はナンセンスであることに行き着くと思うのですが、オハイオには東や西海岸の大都市と比べたらそんなに移民が多くありません。

全米を通して大企業や大手のサービス業では、社員や店員にRacial Sensitivity Training (人種差別につながるタブーを認知し、実際に差別行為、言動をしないための研修)があるのですが、地域によって真剣度が違う印象を私は受けています。具体例はこのあと先にお話しします。

イリノイ、インディアナ、ケンタッキー、オハイオあたりの地域に入ると、多くの人が今だにゼノフォビアだったり、有色人種や移民への対応の仕方やタブーになる言い回しなどに対して敏感ではない印象を強く受けます。

「アメリカの中でも最も平均的」しかしアメリカが変化を遂げている現状に気づかない

アメリカ文化を学ぶ際、白書や数値データはとても良い資料なのですが、現在では思想の分断も顕著になっているのもあり、文化そのものを把握する際「最も平均的な場所はどこか」という見方、ラベリングの仕方はあまり良い意味がありません。

アメリカは広大で、州や地域でいろいろなことに差や独自のものの発展、背景などの特色があります。地域の歴史や構成によって様々な要素においてそれこそ「標準」がないのです。

現在では米国を分析する際に多くの専門家がディテールを意識し、フェアに捉えようと、ステレオタイプを拭うように、通り一遍の見方はしなくなってきています。

SNSなどメディアの力が大きく関連していると思われます。これはいいことだと思う。でも、フェイクニュースに引っかかってバンドワゴン現象を起こすのはごめんだけど。

一方で白人優位主義がまだ残っていた80年代、90年代前半までの「アメリカ研究」では、確かに「白人の中間層の意見が大多数を占める」ため、彼らの意見はアメリカを代表するようなものでした。

移民の影響を大きく受け激変する地域と一昔前のアメリカが残る地域の温度差

オハイオはもともと白人の中間層がとても多く、80年第ごろまでのアメリカ研究でよく扱われた「マジョリティである白人中間層の意見こそがアメリカを反映している」見方では、ドンピシャな州でした。

そして移民やITビジネスの台頭などで様変わりした東、西海岸と比べ、オハイオは移民の流入が少なく、変化が穏やか。今も白人の中間層が比較的多いままです。

その「経済的に中間層の白人」たちが時代は変わりつつもそのまま「自分たちがアメリカの意見を代弁する主役である」というスタンスのまま来ているのがオハイオ周辺の特徴であると思います。

現在のように「白人の中間層だからと言ってアメリカの意見の大多数であるとは限らない」状態になっているのにも関わらず、彼らの体感は昔のままであるので、現実の認識の差があります。

ちなみに、日本人からすると大変理解しづらい「トランプ支持をしている貧民層」などの矛盾した構図などがここに大きく関連していることも重要。現在のアメリカの抱える不可解さは混沌としています。

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