「海外こころのヘルプデスク24時」の秋田まきさんインタビュー

久しぶりのインタビュー企画第4弾です!

今回は「海外こころのヘルプデスク24時」発起人でいらっしゃる、テキサス州の秋田まきさんのご紹介です。

まきさんは世界中どこに住んでいようと、日本語で恋愛や結婚などの悩み相談をされたい方が無料、匿名で使えるサービスをオンラインで運営されています。

母国を離れ、話せる人がいない、相談したいけれどどうすればいいのかわからない方、ぜひまきさんの活動を知っていただきたいです。孤独を感じている海外在住日本人にとって、必見の記事となっております。



「海外こころのヘルプデスク24時」を一人でも多くの人に知ってもらいたい!

こんにちは、なんだろなアメリカにようこそ。キョウコ@NandaroAmericaです。

今回は大人気インタビュー記事第4弾。オンラインの無料相談室、「海外こころのヘルプデスク24時」の発起人でいらっしゃる秋田まきさんにたくさんお話を伺います!

秋田まきさんは、オンラインで地球上のどこからでも、いつでも個人カウンセリングが受けられる「海外こころのヘルプデスク24時」をボランティアで運営されています。

海外こころのヘルプデスク24時

海外こころのヘルプデスク24時 公式ブログ

 

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今までのインタビュー記事は他にも

Ryo’s EnglishのRyo(チャラ男)さん インタビュー

「ジョン子のニューヨーク日記」のジョン子さんインタビュー

「浮き草がゆく」福田マダール有希子さんインタビュー

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キョウコ(以下K):今回のゲストは秋田まきさんです!こんにちは。今回はよろしくお願いいたします。

秋田まきさん(以下M):よろしくお願いいたします。

海外歴が長い!語学も堪能なまきさん

K:今回の記事では、まきさんの立ち上げたプロジェクトの「海外こころのヘルプデスク24時」のサービスについて詳しく伺い、同時になるべく多くの方に、素晴らしい活動であることを深く知ってもらいたいと思っています。

まきさんの大変意義のあるプロジェクトを、ぜひこのブログで少しでも情報を拡散できればと思っています。

もくじ クリックで飛びます

まきさんのこれまでの経歴をご紹介します

まず初めに、まきさんのことについてお伺いしますね。まきさんは現在アメリカに住んでいらっしゃいますが、その前も海外だったそうですねー。

M:はい、その前はメキシコに10年以上住んでいました。

K:すごい、海外歴が長いんですね。現在はアメリカのどちらですか?

M:今はテキサス州に住んでいます。

K:そうなんですね。テキサスも日本人の方が多い印象がありますが、どんなところですか?

M:メキシコとの国境の町で、町中にスペイン語が飛び交っています。私はスペイン語も話すのですが、アジア人とみるとスペイン語を話してくれないのが目下の悩みです。

K:スペイン語もお出来になる!まさかアジア人がスペイン語を話せるとは思っていない(確率が低いという意味で)んでしょうねえ。なかなか英語以外も使えるという人は少ないですし。テキサス、一年中暖かそうで、環境もいいと聞いているので、行ってみたいですねえー。

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もともと国際的な環境で育ったまきさん

K:では、「海外こころのヘルプデスク24時」を立ち上げるに至ったお話を徐々に伺っていきたいと思います。

今回、記事を仕上げる前に経緯を教えていただきました。このプロジェクトを開始するにあたって、もちろん今までのまきさんの貴重な人生経験や、育った環境がとてもこの後活動に繋がっていると感じました。

さて、まきさんの現在のお仕事はなんですか?

M:海外生活と国際恋愛専門の心理カウンセラーです。

K:海外生活が20年と伺いました。そして、いろいろな国にお住いだったそうですね。詳しく教えていただけますか?

M:はい。もともと、3歳から4年間、父の駐在に伴いオランダで幼少期を過ごしました。現地の幼稚園を経て日本人学校へ入学したところで帰国。13歳まで日本におり、中学生で再び家族でオランダへ渡航し、中学時代をアムステルダムのインターナショナルスクールで過ごしました。

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大学院で学びながら、いじめ問題の相談員も経験される

M:15歳で帰国し、横浜市の私立高校をへて早稲田大学に入学。京都大学の大学院に進み、フランスへ留学したのち教育学で博士号を取得しました。大学院での勉強と並行して、いじめ問題についての専門相談員(カウンセラー)として活動していました。

K:日本、オランダ、フランス!素晴らしいですね。なかなかこの組み合わせで移住経験がある方はいらっしゃらないと思います。そして素晴らしい学歴!

海外で暮らしながら日本の大学に入るまでの教育内容を高レベルで取得するのは、かなりご本人も、ご家族も辛かったと思います。大変なご経験をされたのが伝わってきますね。

人を癒す仕事への道のりの始まりはメキシコ

K:そして、まだまだまきさんの日本以外での生活は続くそうですね。

M:はい。2007年にメキシコに行ったころから、人生の転機を迎えます。長期で住むつもりはなかったのに、大好きだったボディセラピーの仕事を始めてとても忙しくなり、充実したままあっという間に6年が経ちました。

K:今度はメキシコに行かれたんですね。そこで結果10年。お仕事が軌道に乗ると、やはり日本に帰国せずに続けようと思いますよね。こういう思いがけない出来事が人生って色々発生するので、面白いですねー。

そして、次はいよいよカウンセラーのお仕事を始められるんですね。

M:はい、その後、2014年から2018年までメキシコシティ日本人学校にスクールカウンセラーとして勤務し、TCK(帰国子女)、ハーフ(ダブル)の子どもたちや、親御さんの心理カウンセリングに携わらせていただきました。

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独立して海外生活・国際恋愛の心理カウンセラーの道へ

K:先ほどボディセラピーとおっしゃっていましたが、今度は心理カウンセリング。教育学をもともと学ばれて、そして心理カウンセリングへの流れはとても興味深いです。

私は現在小さいお子さんを教える側にいるんですが、児童心理や発達心理をもっと勉強したいと思っているんですよ。というのも、その分野をもっと知っていれば、もっと彼らの立場からものを見ることができますからね。

まきさんの専門性を極めるキャリアのあり方、素晴らしいです!そして、今度は現在の「海外こころのヘルプデスク24時」に道がつながっていくんですねー。

M:はい!その後は、海外生活・国際恋愛の心理カウンセラーとして独立。現在は「海外こころのヘルプデスク24時」でのボランティア活動と個人カウンセリングセッションを通して、海外在住者のこころのケアに注力しています。

K:経験も十分に積まれての独立、継続は力なりですね。そして、次はいよいよ「海外こころのヘルプデスク24時」について詳しく教えていただきたいと思います。

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海外在住者のための非営利相談機関「海外こころのヘルプデスク24時」

K:はい、「海外こころのヘルプデスク24時」の設立の経緯を伺いますね。まず、海外では日本と比べて、カウンセリングやセラピーといった相談のサービスがとても一般的です。

ちょっと辛いな、これは精神にくるな、という時に自己管理として受ける方も多く、私はこれは日本にはまだまだ浸透していない文化・生活習慣と感じています。

日本語で気軽に受けられる心理カウンセリング あなたの近くにはありますか?

K:日本人は我慢強いことや、人に迷惑をかけないことをある意味美徳や「大人としての振る舞い」のように躾けられたり、また社会がそうさせる部分も大きく、必要な時に自分のためにヘルプを求められない人も多い印象があります。

深刻な悩みであろうと、ちょっとしたことであろうと、自分を酷く煩わせる前に、一旦オーガナイズしたり、専門家にこれでいいのか、どうすればいいのかと聞くためにカウンセリングを受ける方が多いアメリカとはある意味真逆です。

しかし、海外で日本人が暮らす場合は、また状況が違ってきますよね。海外での生活にはトラブルや、カルチャーショック、拒絶、混乱などはつきものです。特に異なる文化圏での生活に慣れていく時期に毎日のストレスが積もり積もってしまっては元も子もありません。

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相談するなら自分の出身国の文化を知っている相談員の方が安心ですね

K:かといって、アメリカでも日本語で受けられるサービスは限られているし、アメリカの場合大都市のみだったり、DVシェルターなどに付随する、かなり深刻なケースを対象としているものが多い印象があります。

この「日本語で」「日本人の考え方を理解している相談員・セラピストが」というところがとっても少ないです。皆さんの近くには実際に日本語で相談できる専門家はいますか?

日本文化をある程度理解しているカウンセラーでないと、やっぱり相談者が抱える問題、悩みの根本の理解が足らず、そしてアドバイスもしっくりこないものになると思います。なので、こうやって海外在住の日本人が日本語でコミュニケーションが取れる心理カウンセリングがあると知っているのといないのでは随分安心感が違うのではないでしょうか。

M:そうですね。もともと、私は「海外生活・国際恋愛カウンセラー」として、個人で海外全域からのご相談を受けていました。その中で、海外にいろいろなキッカケで出てこられた方のお悩みをうかがう無料相談機関があったらいいな、というのは、漠然と考えていました。

本格的な心理カウンセリングではなくても、日本だと、市や厚生省など、行政の相談窓口や、民間でも「いのちの電話」「チャイルドライン」など、相談機関は豊富ですが、海外在住者が時差を気にせずにアクセスできる場所がないなあ、と気になっていたんです。

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発足のきっかけはメキシコ中部大地震での経験

K:それまで、そんなに海外に出てこられた方のための相談機関というのは大々的にはなかったんですね。意外というか、やっぱりあまり表にそういうのを出さないのが日本らしいというか。

M:決定的なキッカケは、2017年10月に、メキシコシティでM.7.2の「メキシコ中部大地震」を経験したことです。幸い私自身に大きな被害はなく、日本人の被害者もいないという話でしたが、思うところあり無料の「震災こころの相談ホットライン」を開設したところ、数人の日本人の方からご利用があったのです。

K:そうですか!やっぱりケアを必要としている人はいますね!

M:公式にはこの地震での邦人被害はなかった、ということになっていました。しかし、ホットラインを設ければ、直接間接にこころのケアを受けたい方はいらっしゃって、ご利用いただけるんだ、ということが、このときわかりました。

K:探し当てて、実際利用するまでに至る人というのは氷山の一角かもしれません。

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海外の生活には、「相談できる人がいない」環境がつきものです

M:自然災害というような多くの人が同時に影響を受ける大きな出来事がなくても、海外に住んでいる人はそれぞれ一人一人の人生のドラマを生きています。生きていれば誰しもアップもあるしダウンもあります。

K:そうですね。それに、海外の生活は、大抵の場合孤独です。家族全員がこちらにきていても、昔からの友人が大勢いるわけではない、親戚縁者は全員日本にいるというのが普通。

この物理的な遠さは、精神的な遠さにも直結しているかもしれませんね。海外に出たばかりに、日本との家族とはなんでも話せる間柄ではなくなってくることが多いと思います。

M:海外で今つらい思いをしている方に、金銭的負担をかけずに、手を伸ばしていただきたい。そういう思いで「海外こころのヘルプデスク24時」を作りました。

「海外こころのヘルプデスク24時」は「傾聴」をモットーとしています。「傾聴」とは相談者さまをジャッジせずにお気持ちに寄り添って聴くことです。お話しするなり涙で声にならなかったり、大きな人生の岐路に立たされている方も多く来られます。そういうお一人お一人の人生の中で、目の前にある困難の重みをただ受け止めながら、心から耳を傾けることを重視しています。

幸い、志を同じくする心理カウンセラー、専門家の方にたくさん集まっていただき、毎日相談員が常駐するアクディブな相談機関になっています。将来的には、24時間眠らないホットラインになることを目指しています。

K:まきさんと同じで「傾聴」を必要としていると考えている方が他にもいらっしゃったんですねー。仲間を集めるための努力も相当なものだったのでは?

しかも相談者は無料でプロのサービスを受けられる。困っている側としたら、こんなに嬉しいことはありません。現在悩みを抱えているが相談者がいないという方は、ぜひ、利用して欲しいですね。

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「海外こころのヘルプデスク24時」はどんなサービス?

K:オンラインでどこからでもアクセスできる、そして日本語で相談できる。その他、「海外こころのヘルプデスク24時」を利用する際のことをもう少しお聞かせいただけますか?

オンラインでたっぷり話せる!

M:毎日、決まった時間に相談員が常駐し、オンライン上の会議室に相談デスクを開きます。その相談デスクに利用者さんが入って来られることで、お話がはじまります。相談デスクのオープンは1回に2時間で、音声のみになります。お1人当たりの平均お話時間は45分ほどです。

K:実際人に会うカウンセリングも1時間弱のことが多いようですので、平均45分とは、利用者の皆さんにとっては、とても満足して使える長さではないでしょうか。最近は、どのくらいの方が相談されていますか?

M:最初はご利用も月に数名だったのですが、現在、設立から1年が経ち、月に20件を超えるご相談をいただくこともあります。

メールでも相談ができる!

M:2019年2月には、メール相談部門もオープンしました。

K:そうなんですか!

M:こころのご相談をメールにて送っていただくと、相談員が1週間以内に返答いたします。相談員とのやりとりは3回まで可能です。

K:ここまでをちょっとまとめますと、オンラインでも、メールでも。2つの方法でお話しできるんですね。どちらでも自分がしやすい方が選べますね。

相談者さんは全世界からアクセスしています

K:世界中どこにいても相談ができるのが最大の売りだと思いますが、どんな国に相談者さんが多いのですか?

M:相談者さんは全世界からいらっしゃっています。アメリカはもちろん、ヨーロッパ、中南米、アジア、オセアニア、アフリカ、ロシア等です。海外渡航前や、帰国後の方のこころのご相談もお受けしているので、日本からのご利用もあります。

K:なるほど、日本へ帰国後も!再度適応したり、また一から生活を始めるときもいろいろ経験されますからね。

M:はい。ですが、やはりダントツに多いのはアメリカです。今までではアメリカ在住の方は、4割ほどもいらっしゃいます。

K:アメリカからがそんなにいるんですね!

M:そうですね。こちらからお住いの地域を聞くことはありませんので居住地不明の方もいますが、それでもアメリカに住む日本人はやはり多いんだなあと、びっくりさせられる日々です。

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「海外こころのヘルプデスク24時」はどんなことを相談できるのか

K:「海外こころのヘルプデスク24時」ではどなたでも無料で相談が受けられると話してきましたが、具体的にどんなことを相談できるのでしょうか。

M;相談内容は多岐に渡ります。海外生活の中で、落ち込んでしまったり、孤独を感じるときに、誰かに胸の内を打ち明けて、ホッと一息つきたいという目的でアクセスいただくことが多いです。

「海外こころのヘルプデスク24時」では、以下のような方を対象としています

  • とにかく誰かに日本語で話しがしたい
  • まわりに話せる人がいなくて苦しい
  • 日時予約して相談するほどではないと思っている
  • 胸がもやもやするけれど、どう言葉にしていいかわからない
  • いつも自分のことを後回しにしてしまい誰かに話す時間がない
  • 海外生活になかなか慣れない
  • 同じ気持ちを知っている人に聞いてほしい

M:「どんなお話でもうかがいます」「こんなことでもかけていいの? と迷う必要はありません」と、お知らせしています。

K:それは本当に心強いですね。

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海外での慣れない生活の中、辛くなったら利用しよう!

M:実際に、海外生活や子育て、恋愛・結婚などの具体的なお話から、「ただ話を聞いてほしくて・・・」「夜眠れないので・・・」「日本語を聞いてホッとしたくて・・・」まで、さまざまなお話が寄せられています。

K:相談されるかたの悩み、私はかなり共感できます。人生それ自体でいろいろなことが起きますが、それが母国を離れた場所となり、さらに家族や友人がいない環境は、本当にきついです。

そんな状況の中にいろいろと困った出来事が起きてしまうと、自分の判断能力だけでは知識も経験も足らず、大変不安になります。私もアメリカで結婚後、特に妊娠中と、出産後、子供が学校に行くようになるまでは、毎日が自分よりも子供優先、そして相談者も皆無の状態でした。

今も日本で暮らしていた時よりは、母国を離れたということだけで色々困ったり不安に思ったりするのは尽きないですけどね。特に妊娠、出産後数年のあんな状況の中、こういった期間があると知っておくだけでもとても心が楽になると思います。

現在利用しようか迷っている方がいらっしゃったら、私はぜひ背中を押したいです!一人だけで悩まず、相談してみるのも、ちゃんとした一つの方法ですよ!

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「海外こころのヘルプデスク24時」のスタッフはどんな人たち?

K:相談を聞いてくださるスタッフの方について伺いたいと思います。どのような方が相談を聞いてくれるのでしょうか。

専門家によるボランティアで構成されています

M:相談員は現在、心理士3名、専門コーチ・コンサルタント9名、医療従事者・教育従事者2名を中心とする21名が在籍しています。

全員が海外在住者もしくは海外生活経験者で、それぞれの個人でのセッションのかたわら、完全ボランティアで従事しています。

K:ということは、みなさん海外での暮らしで陥りやすい精神状況や、困ってしまう経験などを理解されているんですね。共感してもらえる相手であるとわかった上での相談は、とても話しやすくていいですね。

M:相談員は全員「傾聴」の研修を受けたのち、心理カウンセラーの個人指導や、ピア(相互)リスニングなどを行います。また、月に2回以上の勉強会や講習会を開き、相談員同士のスキルアップに常に勤めています。

K:プロフェッショナルですね。月に2回以上の勉強会というのはお忙しいのに、素晴らしいと思います。みなさん本気で取り組んでいらっしゃる様子がそこだけとっても伝わってきます。

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「海外こころのヘルプデスク24時」の相談者のプライバシー対策

K:相談したいことがあってもカウンセリングまで踏み切れない、という方の多くに「自分のプライバシーをどう使われるか」という恐れがあると思います。

「海外こころのヘルプデスク24時」では相談者さんのプライバシーはどのように守られるのか教えていただけますか?

完全匿名で、相談内容も他に明かされることはありません

M:「海外こころのヘルプデスク24時」の一番の特徴は、「完全匿名」で「守秘義務」が守られた安全な環境を確保しているところです。オンライン相談デスクは匿名で利用ができ、居住地、年齢などのプライベートなことは一切尋ねられません。

K:カウンセリングや医療の現場では相談者さんのプライバシーが守られることは大前提ですが、こうやって一度はっきりと、匿名でも大丈夫、守秘義務があるから相談内容は他言もされないと知れるのはありがたいですね。相談しようかどうかまだ迷っている方の背中をぐっと押してくれるのではと思います。

相談者さんの気持ちに寄り添うことを最優先

M:私たちはお話をされる方のの「今・ここ」の気持ちに寄り添うことを重視しているため、利用者さんの連絡先をうかがったり、利用後の感想をお聞きすることはしていません。また、守秘義務の観点から、お話する内容を明かしたり、事例として発表することもしていません。

K:よく、事例などがイニシャルや仮名と共に出版物などに出ることがありますが、そういうこともないのですね。センシティブな内容を相談される方も多いでしょうから、事例としても出ないというのはとても配慮が行き届いていると感じます!

相談者さんの感謝の言葉でスタッフも勇気付けられ

M:お話の中で「吐き出せてよかったです」「気持ちが楽になりました」「不安でしたが勇気を出してよかった」「本当につらくなる前に頼れて助かりました」「スッキリしました」「何かあったら相談しようと前から決めていたんです」などのフィードバックをいただき、私たちも勇気付けられています。

K:サービスを提供されている側からしたら、染み入る嬉しい言葉ですね。よかったー。

M:つらい時に、つい一人でなんとかしなければ、誰にも迷惑をかけてはいけないと感じがちですが、その、頼っちゃいけない、迷惑かけちゃいけないという気持ちが、孤独をさらに追いやることもあります。

「話を聞いて」って言えるのは、実は大切なこと。気軽に利用していただければ幸いです。

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海外在住者のためのセイフティ・ネットは不足している

M:さまざまなお話を聞かせていただく中で、海外在住者のための日本語のセイフティ・ネットが不足していると感じることがあります。

K:ほうほう。これは現在日本にいて、駐在や留学、国際結婚で海外に住もうと計画されている方も特に知っておいて欲しいですね。

移住先の国、都市には日本語で相談できる機関はありますか?

M:たとえば、職場でいじめやハラスメントにあったらどうするか。生育過程で受けたトラウマに海外で気づいたら、どこで癒せるのか。家族がアルコール依存症の場合、どこに助けを求めたらいいのか。

日本であれば公私の相談機関があるようなケースでも、海外には対応していない。海外で言葉の壁があると、現地のセイフティ・ネットからもとりこぼされます。このように、とても脆弱で不安な状況で暮らしている海外在住者が、多くいます。

K:アメリカにはDVホットラインをはじめ、ローカルのシェルターや、保険適用の専門家による有料のカウンセリングというのはたくさんありますが、日本語でできる、そして日本で育った日本人の文化をわかっていてくれる機関というのは、大都市にしか(それもわずか)ないような気がします。

やっぱり、もともと日本の文化で「相談をする」という部分がまだまだ発展途上だからなんでしょうかね。

海外に住む日本人向けのセイフティネットの整備について

M:海外に住む日本人は現在135万人に達したそうで、今後も増え続けると言われています。地球のどこに住んでいても手を伸ばすことのできるグローバル・セイフティ・ネットの構築は急務です。

私たちもヘルプデスクをベースとしながらも、今後はさまざまな内外の団体と提携しながら、ネットワーク構築を進めていきたいと考えています。

K:すごい!壮大な計画ですが、さすがプロフェッショナルの視点ですね。とても大変な道のりかと思いますが、「海外こころのヘルプデスク24時」を発足させ、もうここまできているから、きっとできますよ!応援しています!!頑張れまきさん!!!

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あなたには自分が参加できるコミュニティがありますか?

M:「海外こころのヘルプデスク24時」に寄せられるご相談はさまざまですが、共通しているのは、お話される方が「孤独」を感じているということ。

ヘルプデスクには長い間孤独を抱えてきた方の通話があることが多く、お話するなり涙で声にならない場合や、お話が長時間に及ぶこともしばしばです。そういうお話をうかがう度に、海外在住者同士をつなぐコミュニティの種類が今以上に、もっとあった方が良いと感じます。

私たちは今年(2020年)6月に新しく海外在住者のための5つのオンライン・ピア(相互)サポートグループ=「ぴあさぽ」を発足させます。「ぴあさぽ」とは、同じ境遇にあったり、同じ境遇をくぐり抜けてきた人同士が集まる会のことです。悩みや辛さを抱えた者同士が、お互いに支え合い、励ましあいながら前を向いて進んでいくことを目指しています。「当事者グループ」もしくは「セルフ・ヘルプグループ」とも言われることがあります。関心のある方はぜひご参加ください。

K:私、出産後一番辛かったときに、このサービスがあったら、絶対使っていたと思います。産後うつまではいかなかったけれど、本当に辛かった。

子供が生まれて、本来忙しくも楽しく過ごせたはずなのに、表面は平和に過ごしていても、内面はただただ不安のみでしたね。日本人会もなく、近隣のママさんのミートアップもできず(偏りがある地域だったので「アジア人」に対する風当たりが強かった)、行く場所がなかったですねー。

アメリカは広いから、私の経験と似たような感じで、人と実際に会う機会を掴めない方も多いと思います。そんな境遇の方のために、オンラインコミュニティがあることは本当に希望の光です。

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オンラインでも、オフラインでも、自分が所属できる場所を多く持っておくことの大切さ

M:そうですね。実際に顔をあわせることのできるローカルコミュニティが一番助けになるのはもちろんですが、それと同時に、オンラインコミュニティを含め、複数の「所属先」を持っていることは、いざという時に助けになります。

海外在住者同士のオンラインコミュニティ作りは、まだまだ始まったばかりですが、最も盛んなのは、実はママさんグループと駐在員の配偶者のグループなんですね。ママさんと駐在員の配偶者は、ローカルもグローバルもコミュニティがあるという数少ない「先進分野」です。

K:あっ、そうなんだ!言われてみれば、そうですね。お仕事をされている側の配偶者(男性であることが多い)とか、一人でアメリカに来ている男性はツイッターでは数も多くお見かけしますが、実際に会ってていうのは確かにあまりイメージがわきません。

これからもっとケアされるべきなのは、働く人と留学生!

M:そうなんです。ママさんと駐在員の配偶者に比べて、働く人や留学生のコミュニティは、少し立ち遅れています。ですから、キョウコさんが行なっているようなママさんコミュニティに、他の分野も早く続いて欲しいなと思っているんですね。

私たちも今後は、海外在住者のみなさんのお悩みや、こころの傷からの回復に必要な情報やツールを提供するべく、コミュニティを強化していきたいと考えています。

K:なるほど。じゃあ目指すはまず「海外在住者全体」のコミュニティの充実、そして、手薄になっている(笑)お仕事をされている方、留学生のコミュニティの充実、なんですね。

私は自分の辛かった経験をもとに「アメリカで妊娠・出産・子育て」にはまってしまって、就学も就職も機会を逃している女性の立場として、地元の日本人会の場所を使わせていただいて、子育てサロンというのを開始しましたが、国際結婚で永住の女性と、駐在帯同者としての子持ち世帯の奥さんをターゲットにしています。でも、これからはなるべくお父さんも参加できるように配慮しなきゃですねー。

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秋田まきさん、ありがとうございました!

K:今回のインタビューは「海外こころのヘルプデスク24時」を発足させた、秋田まきさんにお話を伺いました。

海外経験が大変豊富で、客観的に日本人のデモグラフィを捉えられる視野をお持ちだからこそ、このような素晴らしいボランティアのサービスが誕生したのだと感じました。

海外在住の日本人にとっての相談機関やコミュニティの不足など、実際に海外に住んでみて、さらにプロとしてカウンセリングのお仕事を続けられたからこそ、何をすべきかがお分かりになっていらっしゃるんですね。発足までの経緯や、運営の意気込みは生半可なエネルギーでは成し得ないと思います。

今回、この記事を一人でも多くの方に読んでいただき、私もぜひ海外在住の日本人の方のために、こんなサービスがあるんだよと宣伝できたらと思っています。読んでくださった皆さんも、もし周りで孤立していたり、悩みを抱えている方がいらっしゃいましたら、海外こころのヘルプデスク24時のことを教えてあげてくださいね。

まきさん、今日はどうもありがとうございました!

「海外こころのヘルプデスク24時」の情報

海外こころのヘルプデスク24時Website: https://www.helpdesk24.net

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