アメリカはヒッチハイクが違法?!安全・注意点など紹介

日本から一人でアメリカに入国し、ヒッチハイクで横断の旅を開始した中学生がツイッターで話題となっています。

彼は無事日本へ帰国することになりましたが、アメリカ在住日本人と、日本在住の日本人の間ではかなりの現実の捉え方、反応の差がありました。アメリカで未成年が一人で出歩くことはあり得ませんが、その背景には「知らなかった」とか「カルチャーショック」だけでは済まない深刻な理由があります。

今回はその一部として「アメリカでのヒッチハイクは違法」のお話についてです。

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アメリカでのヒッチハイクは大体の地域で違法です

こんにちはー、キョウコ@NandaroAmericaでーす。

アメリカは広いです。アメリカは州によって法律が違います。州を越えての移動はいろいろな意味があります。

そしてさらに治安も(日本と比べて)は良いとは言えません。

これが直接原因でヒッチハイクが違法となっている、とは必ずしも言えませんが、アメリカのヒッチハイク事情、いろいろ見て行きましょう。

えっ、アメリカではこんな?ということに触れている記事はこちら

アメリカ子育てー銃乱射事件を受けてプレスクールでも避難訓練ー母として心を痛めた話ー

英語一発ーHibachi、Kombucha、Mrs. Watanabeって何?米製日本語特集ー

アメリカ生活ースクールバスは追い越したらアウト!?交通ルール紹介ー

アメリカ生活ー家庭料理vsレストランのお持ち帰り!米国の外食文化を考えるー

アメリカ生活ーアメリカで体験した差別的出来事リストー

アメリカ留学ールームメイトが全く掃除をしない文化的背景を考えたー

 

アメリカのどの州でヒッチハイクは禁止されているのか

アメリカ50州のうち43州では違法

はい、2度言います。米国の43州ではヒッチハイクは違法となっています。ほとんどがダメなんですね…。

ということで、西海岸から東海岸までヒッチハイクのみでの横断という旅は理論上不可能です。

こちらに紹介する記事にてアメリカではヒッチハイクはほとんどの州で禁止であり、その文化は衰退した、というお話が読めます。The forgotten art of hitchhiking — and why it disappeared

ヒッチハイクを禁止していない州はどこ?

ちなみに禁止していない7州はアラスカ、ワイオミング、サウスダコタ、ミシガン、ミズーリはOK。マサチューセッツ、オクラホマではハイウェイでは禁止と限定。

これらの州は点々として繋がっていないので、各州の端から端まで行けたとしても、その後どうするの、ということになりますね。

なぜアメリカではヒッチハイクが禁止になったのか

ヒッチハイクが違法であるということを聞くと、日本の皆さんは「でも映画でよくやってるじゃん」って言われると思います。

その通りで、アメリカの映画やドラマにはヒッチハイクをして主人公が移動したり、運転して旅をするロードムービーっていうジャンルさえあったりします。

かつてヒッチハイクは堂々とやっている人もいたはず

ウィキペディア(英語)にはヒッチハイクのシーンが出てくる様々な映画のリストがあります。

日本人にはおなじみ、「魔女の宅急便」(Kiki’s Delivery Service)も含まれているので、舞台がアメリカの作品だけではなく、全世界での作品で、というリストです。

かつては確かにヒッチハイクは文化ではありました。なぜ「違法」になり、ヒッチハイク文化は「衰退」したのでしょう?

ネット上で目にするヒッチハイクの衰退について調べ、感想もつけました。

車の普及

アメリカは車社会であることは長い間の事実ですが、「最近では車を所持していない人が少なくなったためにヒッチハイクをする人も減少した」という理由もヒッチハイク減少の理由として挙げられているのが見られました。

うなづけるけど、ニューヨークなんかの大都市部の人はもともと車を持たない(置く場所ないし、むしろ持てない)生活スタイルの人もそれなりにいます。さらにミレニアル世代は車をわざわざ買おうとしないと話題になっています。

所持はしていなくても、タクシーやUber, Lyftなどのサービス、そしてシャトルサービス(主に老人や病人などの)が整備されつつあることも要因かもしれません。

長い目で見た場合、ヒッチハイクの衰退と「車が普及したこと」「お金で買える移動サービスの普及」は関連があるのかもしれないですがね。

インターステートハイウェイシステムと警察がしないよう呼びかけている

インターステートハイウェイというのは州と州をつなぐ道路のこと。日本でいう高速道です。

別の州に行きたいからといって、高速道の路肩(芝生のところ)に侵入してヒッチハイクをするのは禁止!と法律で定めるようになったようです。

そりゃそうだよね。路肩にたどり着く前に車に轢かれて死んじゃうと思う…。

この背景には、私は州をまたいでの犯罪の抑止もあると思います。どういうことかというと、脱獄犯とか、犯罪者の移動、ですね。

こういう人たちが善人っぽく変装し、さらに困っているのを装って、ドライバーの気を引き、カージャックをすることを恐れているのだと思います。

アメリカなら十分考えられるシチュエーションだし、そんなことが起きるのは、ヒッチハイクを禁止していないからじゃないのよ!って市民がいいそうなのも、アメリカらしいです。

こういう雰囲気、分かっていただけますかねえ。アメリカに住まないとわからない空気かもしれません。

どういう経緯があるにしろ、自分の身は自分で守るという前提、意識が濃いアメリカだからこそ、ヒッチハイクは禁止となっているのです。日本からしたらなんだそれって思われるとは思うんですが。

アメリカでは子供を両親の了解なく別の州に連れて行くことは違法ですし、小旅行だとしても普通は家族内で「今日は朝からニューヨークに子供を連れていって、夕方帰るね」などのコミュニケーションは気を使います。

さらに、片方の親が同意しないのに子供を別の州に連れて行くのも問題になります。

その背景には州で法律が違うこと、さらにもし別の州で病気や怪我をしたら自分の入っている医療保険がカバーしない、あるいは高額になるなどの日本では想像できない制約があるからです。

アメリカでは、「州」の移動だけでもこれだけ気を使いますし、さらに子供(未成年)への対応でも大変神経質にならなければならない文化的背景が山とあります。

未成年の子供の親としてアメリカで暮らすと常に「子供を守る責任」が自分にあり(当たり前)、「子供は守られるべきである」構図ですね。

アメリカでは自己責任、個人主義が前提ですから、何かあっても助けてくれない、なので誰かが(善意で)助けてくれるだろうという生半可な甘えは、どの親も持っていないと感じています。

ですから、まず子供が助けが必要な状況に陥るリスクがある状況にはさせません。

過干渉とか過保護以前に、アメリカではほんの2、3秒子供から目を離した隙に、スクールバスから降りて歩いて来る3、4分の距離で何かが起こることが多いのです。

これは必ずしも悪い人がウヨウヨいる訳ではなくて、悪い人はこういうタイミングを狙っているから絶対逃さない、ということ。

60年代にヒッチハイク禁止の法律案、70年代に実施されるようになった

今よりヒッチハイクが多く見受けられた60、70年代にこういう法律ができた背景には、善意でヒッチハイカーを乗せたドライバーが性犯罪や異常者の被害に遭うことを防ぐ意図があったようです。

ということは、ヒッチハイカーの中にはそういう人が混ざっていて、ドライバーも被害にあったという事件があったということ。

当時、我がニュージャージー州のラトガーズ大学の警察官がヒッチハイカーに扮して女性ドライバーに乗せてくれるよう頼み、赤い紙を渡すと、そこには「もし私がレイプ魔だったらあなたは被害にあっていたわけですよ」と書かれていました。

そんな感じで「ヒッチハイカーを載せることは危険をはらんでいる行為」という認識がアメリカ人には広がって行きました。

見知らぬ人への恐怖と不信感が増大した20世紀後半から現在

日本を含め、先進国では「知らない人間を信じるな」という風潮が強まっています。

古き良きお隣さん文化、微笑めば友達、というリラックスした雰囲気はアメリカにはすでにないと言ってもいいでしょう。

もともと人情や思いやり、困った時はお互い様といった感覚は日本ほどはない、個人主義の強さが基盤にあるアメリカでのものの考え方ですが、アメリカでも本音と建前や内と外の文化は、地域差はありますが、存在します。

他者を信用しない空気がより強くなっている現在

政治的背景のせいで不安定な近年は、より一層保身と安全のために家族を守るために皆必死、という感じがします。

こうなった背景にはアメリカ自身が長く抱える社会の闇、病気が増大していることが挙げられると思います。

この雰囲気は実際この国に住まないとわかりません。私のアメリカぐらしの大先輩も、数年前に日本に帰国され、「今はなんか全然想像できない空気になってるのね!?」とおっしゃっています。

日本も変化が激しく、同じことがあるかと思います。

数年離れただけでかなり変わってしまうのです。

お読みいただきありがとうございました!

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